二十首目 さよならは信じたくない ページ22
小学五年・夏
最近廉がよそよそしい。
避けられてる。そこまでいかないけど、なんだか気になる。
夏休み中もほぼ毎日電話か会うかが日常の一部だったはずなのに、後半になってめっきり減って露骨になった。
「廉、僕なんか嫌なことした？」
新学期前の登校日に、友達と帰ろうとした廉を捕まえて詰め寄った。
「ん？なんもないよ？」
声が少し裏返った。
それで誤魔化してるつもり？
「嘘っ！だって僕を避けてる。」
「避けてないって。」
「廉！」
掴んだ腕が震えていた。
「はぁ…」
「俺、転校することになった…」
「えっ…」
「父さんの単身赴任先に行くことになってん…」
頭を鈍器で殴られたような衝撃がきた。
一年前、千葉の学校から転校するよって自分が言われた時はこんなに悲しくなかった。
なんで？廉と離れたくないよ…
ずっと、ずっと一緒にかるたがやりたかったよ…
「誰よりも、神にはちゃんと話さなって思っとった。
でも、神たがらなかなか話せなかった。
ごめん…」
廉は走って教室を出ていった。
ねえ、それは何のごめん？
・
・
夏休み明けの始業式は俺には終業式のままだ。
クラスメイトがお別れ会を開いてくれた。
その間神はずっと教室の後ろで、早く抜け出したそうにしてる。
何度か転校を経験して初めて仕方ないって割りきれんかった。
大切な友達と離れることってこんなに寂しいんや。
折角、せめて最後に一試合と思って札を持ってきたのに話し方を忘れたみたい。
ほんま意気地無し。
父さんの車が来て、いよいよこの学校もあと少し。
「れーーん！！」
それは誰よりも聞きたかった声。
「今すぐ行くから！いなくならないでね！」
そう叫んで三階の教室から校庭にかけ降りてきた彼の手には、札が一枚握られていた。
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四季(プロフ) - マジックアワーさん» ありがとうございます！ (2022年11月30日 23時) (
レス) id: 10b371ccd5 (このIDを非表示/違反報告)
マジックアワー - 百人一首いいですよね。話の続き楽しみにしてます。 (2022年10月23日 10時) (レス) @page9 id: 461445c92c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四季 | 作成日時：2022年10月18日 2時
