十一首目 子供の思い出 ページ13
六年前
四年生が始まって二ヶ月という微妙な時期に神宮寺は転校してきた。
子供目線でもなんとなく周りの同級生よりもいい服を着ているのが分かって、よく車での迎えが来る。
普通の都立小学校のガキと比べたら少しばかり特殊な存在だった。
そんな彼が転校そうそう俺の隣の席になったのは、きっと理由もない神様の悪戯だと思う。
「廉くん、隣よろしくね。」
「よろしく。」
初めて交わした言葉。
その屈託の無い笑顔は今後忘れられないものになる。
とはいえ、廉にもそれなりに友達はいたし、転校生なんて物珍しい人に群がる生徒は多くてそれから二人は殆ど言葉を交わすことはなかった。
それは梅雨に全ふりした小雨の止まない日のこと。
ふと、クラブ終わりの廉が筆箱を忘れたことを思い出して一人教室に戻ると、神宮寺がいた。
当時の小学校中学年にはまだ物珍しい自分のスマホを弄っている。
「何してるん？」
そう言うと驚いてとっさにスマホを隠す。
それが結構面白かった。
「先生とかになんも言わんよ。」
「吃驚した。」
教室に戻った理由を簡単に伝えると廉は自分の机を漁る。
なんだか見られてる感じがしてそわそわした。
「転校生って疲れるやろ。」
何か話そうと思って咄嗟に出たのがそれだった。
我ながら何の脈絡もなかったと思う。
「なんで、分かるの？」
「俺もここの学校は転校してきたから。」
「どこから」
「大阪。小二の時に。」
ぽつん、ぽつんと二人とも多くは話さない。
けれどよく分からない居心地のよさを感じた。
「帰らんの？」
「傘忘れちゃって、お母さんが迎えに来てくれるの待ち。」
それを思い出した。自分も朝の天気予報に騙されて傘を忘れたことを。
それは顔に出ていたみたいで、神宮寺が小さく笑った。
「廉くんも忘れたの？
よかったら乗ってく？」
「マジ？ええの？」
「そのまま帰ってって言っちゃうほうが怒られられるもん。お母さんに。」
お言葉に甘えることにして、お母さんが来る10分ぐらいの間、二人が今後親友のような関係に至るのに大切な時間を過ごした。
好きなゲームの話。
嫌いな食べ物の話。
変な先生の話。
二人は急激に打ち解けていった。
廉と神と呼び合うぐらいには。
因みに、彼の親はデパートに必ず入っているような某有名老舗和菓子屋の社長だとゆうこと、二人の自宅は徒歩五分ぐらいしか離れてないらしい。
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四季(プロフ) - マジックアワーさん» ありがとうございます！ (2022年11月30日 23時) (
レス) id: 10b371ccd5 (このIDを非表示/違反報告)
マジックアワー - 百人一首いいですよね。話の続き楽しみにしてます。 (2022年10月23日 10時) (レス) @page9 id: 461445c92c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四季 | 作成日時：2022年10月18日 2時
