Iife meaning (ページ8)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,737 hit

運転手の命ページ8

「(どうした？かわいそう…か？)」

心の中を読まれた気がした。

「ちょっと…ね。運転手はラクになるかもしれないけど、家族がかわいそうだなって」

正直に言った。

嘘をついても意味が無いと思ったから。

「(でもあいつが死んだら金、おりるんだろ？だからあいつは死ぬんじゃないのか？そーゆーこと、ちゃんと分かるようにしたほうがいいと思うよ？)」

そうか。

生きるのが嫌だから死ぬんじゃない。

家族のために死ぬんだ…。

「(ちょっ…泣くなよ。)」

泣く？

僕が？

「(君の涙がおれっちにあたってるんだよ。中まで染み込んじゃったらどうするんだよ？)」

そんなに言わなくても…。

「(雑巾みたいな匂いがつくかもしれないだろ？)」

え？！

そんなこと気にしてるのか。

なんかかわいいな。

「ちょっとだから大丈夫だよ。これから気をつけるから許してよ」

「(いーよ。)」

それからたわいもない会話を繰り返していると、運転手が帰ってきた。

「本当に逃げなかったんだな…」

驚いていた。

なんで？

僕が逃げるって思ってたのかな？

「当たり前じゃないですか。約束は守りますよ」

笑顔で車に乗るように促す。

あっさり乗ってくれた。

もう心残りは無いようだ。

「(どうするんだる出発しちまったらもう死ぬしかないぞ？それとも、運転手できるのか？)」

(運転？できないよ？だから…今もらう。)

なんの躊躇もなく命をもらった。

運転手の体から力が抜けた。

やすらかな顔だった。

「(人に見られたらマズいんじゃないか？)」

(分かってる。)

すぐにタクシーを出る。

驚くほど人がいなかった。

「(急いだほうがよくないか？)」

いちいち色々言うなぁ。

(急いでたほうが怪しまれるから。)

ゆっくりとウサギをポケットにいれる。

「(ちょっ…なにするんだよ？)」

嫌がっている。

(男ひとりでウサギのストラップ持って歩いてるのは変だろ？しかも夜に。)

「(ああ…。)」

声が弱々しい気がした。

どうしたんだ？

１人が嫌…とか？

そんな人…いや、ウサギか。

そんなウサギには見えないけど…。

(どうかした？)

意地悪なことを言っていると理解した上で言った。

自分から理由を言わないということは、言いたくないということなのだから。