オベリア帝国の長女 3

第125話 ページ29

リリー「A様、実はお伝えしておくことがあります」




A「うん」





内容は、シロとクロが居なくなったということだった


何となく予想はしていたことだったけど、改めて聞くと寂しくなる





シロはあの時魔力の渦と一緒に私の中に取り込まれて、近くにいたクロにも影響が...ってところだろう


アーティが起きたら悲しむだろうな






ここ最近寂しい思いしかしていないと思う


ルーカスに、パパ、シロとクロ
目覚めないアーティ








A「.....手紙？」


リリー「はい
姫様が眠っている間に来ていたものなので、渡すのが遅くなってしまいました」





そういって手紙がたくさん乗ったお盆を手渡された



アルフィアス公爵家から何通も来てる

きっとジェニットさんとイゼキエル公子ね

他の手紙はお茶会に招待した数人の令嬢たちから
あとはパパと関わりのある伯爵家や候爵家からの手紙だった




A「一通り返事を返したいから、綺麗な便箋を持ってきてくれる？」



リリー「！はい」





ずっと部屋にいるから息が詰まりそうだったけど、皆からの手紙を読んでちょったとだけ気持ちが軽くなった



特に公子とジェニットさん

何通も送ってきてくれただけあって、この2人とは手紙のやり取りが長く続いていた





A「リリー、今日はすぐそこの庭で手紙を書いてきてもいいかな？」


リリー「もちろんです。すぐに準備をしますね」











私は気持ちよく風にあたりながら手紙の返事に迷っていた


ジェニットさんの手紙からはアーティを心配することも綴られていた

今はまだ目を覚ましていないけど、魔法使いの人が定期的に診てくれているから安定している





イゼキエル公子からは私を心配していること、公爵家での様子が書いてあった






A「(.....なんだか今日は妙に皇宮が静かだな)」







その理由は考えずとも分かる

今日はパパの誕生日だもの




少し前までアーティと一緒にパパをどう驚かせるべきかと話し合っていたことを思い出した

まだプレゼントを用意しておかなくてよかった
無駄になっちゃうところだったからね







本当はチラッとでも様子を見に行きたいけど、髪の毛一本でも見せたら殺される宣言をされたし、招待をされているわけでもないし


なにより、気分が乗らない
妹もいないのに私だけでパパの誕生日なんて祝いたくない

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