【歌い手】はじめまして私をよく知る皆さん

２３話 ページ24

side酒井





｢笑わずに最後まで聞いてくれるかしら？｣






いきなりの発言に驚くのは当たり前だ


ただ私だってあんたの存在に驚いてるのでお互い様と言うところだろう


中学の頃の初恋の相手に、高校の親友

世間はどれだけ狭いんだ


う｢おう｣


本当は私が酒井Aである事

酒井Aは通り魔にあって殺されたという事

つづは酒井Aであって詩姫はつづでは無い事



やっぱり渉だったのか…

私情を隠してそれらを事細かく伝える



うらたぬきは真剣にこちらの話を聞いてくれた


う｢喜びたくても喜べない状況だな｣

｢逆に何処を喜ぶの？｣

う｢お前が生きてた事｣


そんなの喜べない

だって代わりに詩姫がいなくなったんだよ



｢詩姫がいない事はいいの？｣

う｢っだから、喜べねーの。てか、Aは弱気になってんの？｣

｢死んでると思ってるもの｣



元に戻りたいけど、戻って死んでるくらいなら…



このままがいいやって


詩姫の事を大事に思っていながらでも、1番は自分なんだ



う｢いつも前向きで人に悪戯して、すっごい良い笑顔をしてた。俺の相談も乗ってくれる。そんな強気で頼もしいAしか俺は知らないんだけど｣

｢夢でも見てたんじゃないの？｣

う｢だったら俺はもうお前に失望するな｣

っ！









｢いやだ…！｣

う｢そ、そーかよ｣





立ってるうらたぬきの服を掴むと照れたようにしてそっぽを向かれた




｢渉なんだよね｣

う｢もちろん｣

｢嘘ついてないよね｣

う｢もちろん｣





｢身長伸びてないよね｣←







う｢もち…ってのびましたけどぉ？！｣←






あの時みたいなやり取りが楽しいんだ




う｢じゃあなんでまーしぃに嘘ついたの？｣






中学の事を引きずりたくなくて頑張った高校時代が今は宝物だった










だから、中学の時のことなんて思い出したくなかった

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