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♀/歳の差/恋愛 ページ27

男の子の成長は早いものである。

小学校高学年からが成長期で、
特に身長は面白いぐらい伸びるイメージだ。

小学生の頃はチビとバカにしていたとしても、
中学・高校では自分の身長を越すなんてザラだ。

「ちょっと前までは
あんなに小さくて可愛かったのに…」

そう私が零す相手は親戚の中で一番年下、10歳下の男子。

ちょっと前まで学ランを着ていた、
のではなく学ランに着られていたような奴だったのが、
今では自分より大きいのだ。

成長とは悲しいものである。

「最近そればっかじゃねーか。うぜーよ」

ゲームから目を動かさず、
手を止めずに私へと悪態を返すコイツも

ちょっと前までは「A姉ちゃ!」と
ヒヨコのようにかわいかったのに。

現実は無常だ。

クルクルと回る椅子を右へ左へと回るように揺れ、
ため息と共に仕事へと向き合う覚悟を決める。

生意気な年下を構い倒せるほど、今の私はヒマではない。

今日のノルマは終わっておらず、
着々と迫る期限と戦わねばいけない。

ぶっちゃけ時間が惜しい。

「そういえば、Aは」

思春期を過ぎてから「姉ちゃ」を付けなくなった元チビ。
本当、成長するのは悲しいことだ。

「彼氏とかいねーの?」

「お前、自分に彼女が出来てからぬかせ」

殴りたくなる衝動と期限とで己の天秤が一瞬だけ揺らぐが、
あいも変わらず天秤は期限に傾ききっている。
選ばれたのは期限でした。

あとで絶対殴る。

「…俺、好きな人がいんだけどさ」

「マジで?」

期限から絶対動かないです!

と言わんばかりだった天秤が手のひらを返すが如く一気に反対へと落ちた。早かった。

欲望には逆らえまいよ。
と自分の中のおっさんが悟った。

「誰?!ね、どんな子?!」

ぐりん。
椅子を回して振り返る。

存外、近くまで来たアイツは顔を真っ赤にしており、
私の座る椅子の背もたれに壁ドンのように手をかける。

おっと。壁ドンならぬ椅子ドンですか。
いやドンされてねぇわ多分。

「俺、Aが好きなんだけど」

今にも泣きそうなほど目に涙を溜め、
顔だけでなく首や耳まで真っ赤にして私を見つめるコイツに、

不覚にも恐怖を抱いてしまった。

「…マ??」

もはや仕事の期限を気にしてはいけない。

私は困惑したし、
ここからどう切り抜けるかに全神経を注ぐのであった。









メーデーメーデー!避難経路求ム!!!

♀/社会人/恋愛気味→←♂/喫煙表現有/恋愛気味



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作者名:秋花火 | 作成日時:2015年12月3日 20時

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