今キミはどこにいますか。~真実と偽装~【九条天】 (ページ24)

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あるとside

病院に帰ってくると、私は病室の扉の前で立ち止まった。

……すすり泣く声が聞こえたからだ。

私も辛いけど…今まで一緒に活動してきた2人はもっと辛い。

｢ごめん…ね……A…弥生くん……神無月くん……｣

私も扉の前で思わず涙をこぼす。

しばらくして2人は落ち着いたようだった。
泣いたのがバレないように涙を拭うと、扉を開けた。

｢ただいま…ごめんね。いつも待っててもらって……｣

｢大丈夫っすよ。お姉さんも大変だと思うけど、オレらもできるだけサポートするんで、何でも言ってくださいね！｣

｢ありがとう弥生くん…｣

無理に笑っているのが分かる。
でもAのために何かしたいという気持ちは、弥生くんも神無月くんも同じだった。

｢じゃあ…今日はもう面会時間終わるんで帰るっすね｣

｢うん。ありがとう｣

そう言って2人はペコッと頭を下げると、病室を出ていった。
2人の背中を見送って、病室の中に視線を戻す。

私はそっとAのそばに行って、すっとAの頭に手を伸ばす。

｢A……あんたのこと…待ってる人たくさんいるよ……？…お願い…目を覚まして……｣

最後の方は声が震えて、今日何度目か分からない涙がまた頬を濡らす。

｢私を……ひとりにしないで……｣

私は眠るAの手を握ったまましばらく涙を流した。