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｢ないない！｣
｢え…｣
ボクの言葉に被せるように笑いながら言葉を発したのは隣の彼女。
右手を顔の前で振りながら、笑っている。
｢有り得ないよ〜。七瀬くんが私の事好きとか有り得ない。七瀬くん私のこと嫌いだもん｣
｢は…？嫌いなんて言ってな…｣
｢ただ小学校が一緒だっただけ〜。｣
｢なぁんだ〜そうなんだ…｣
｢だから、ちが…｣
｢はいはい次行こ次〜｣
ボクの言葉にわざと被せて次の人の自己紹介を促す。
非常に不愉快に思いながらも仕方なく座る。
当の本人は隣の卯ノ田と楽しそうに話している。
それから自己紹介も滞りなく終わり、下校時間。
ボクはそそくさと帰る支度をして教室を出る。
｢あ、ねぇ！七瀬くん！｣
｢…！｣
ボクはその声の主が彼女だと思って振り返る。
でもそこには知らない女の子。
｢あ、あのね、今日一緒に帰らない？話したいことがあって…｣
｢…ごめん…ボク用事あるから……急いで帰らないとなんだ｣
｢え、あ…ご、ごめん……また今度、いいかな…？｣
｢時間があれば……｣
｢う、うん！じゃあ、また明日ね！七瀬くん！｣
｢あ、うん…｣
名前も知らない女の子に一緒に帰ろうと言われた。
特に用事があるわけではなかった。
でも"彼女"だと思って振り返ったため、彼女じゃなかったのが余計に嫌だった。
(何でイライラしてんだろ…)
前髪をクシャッと掴む。
すると目の前をすっと通り過ぎていく彼女。と
(卯ノ田…)
すごく楽しそうにボクの前を通り過ぎていく。
握っていた拳に力が入る。
(彼女の中でボクは…ただの小学校からのクラスメイトでしかないんだ……。)
ボクは悔しさを押し殺して帰路についた。
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作成日時：2018年10月21日 23時
