今キミはどこにいますか。~キミとの出会い～【九条天】 (ページ44)

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(さっきのは……夢…？)

そう思うと突然、ポロポロと涙が出てきた。
目を見開いて驚く2人。
ボクはこれ以上泣いてしまわないように涙を拭うが、止まる様子はない。

Aがすっとタオルを渡してくれた。
それを受け取り涙を拭く。
それでも止まる様子を見せない涙は、しつこくボクの視界を歪ませる。

するとふわっと何かに包まれる。
それが何なのか分かるのに、そう時間は掛からなかった。

Aだ。
またAが抱き締めてくれている。
ポンポンと頭を撫でながら強く、でも優しくボクを抱き締めてくれている。

またやってしまったと思いつつも、その温かさに安心して泣きじゃくってしまう。
Aのお姉さんも、泣いているボクの頭を優しく撫でてくれた。

しばらくして落ち着いてくると、すっとAが離れる。

｢落ち着いた…？｣

｢ごめん…また……｣

そう言うとAはボクにデコピンをしてきた。

｢いたっ…｣

｢もう！気にしなくていいって言ったでしょ？泣きたい時は泣けばいい。堪えてたら体に毒だよ？｣

ね？と、またボクの頭を撫でてくれる。
お姉さんもAの後ろで微笑みながらボクを見つめている。

｢うん…ごめ…｣

｢こういうときは！ありがとう！でしょ？｣

｢あ、ありがとう…｣

よしよし。と言いながら頭を撫で回される。
おかげで髪がぐちゃぐちゃだ。
ボクは今日だけで何回彼女に撫でられただろう。

でもそれだけ心配させてしまっているということだ。

申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちが混ざって変な気分だった。