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《天から話は聞いたよ。君がとても優秀で容姿も秀でているとね。僕が養ってあげようか。ご両親がいなくなってからお姉さんと二人だけの生活にも疲れただろう？何ならお姉さんも一緒に養おう。どうかね？》
｢……。｣
九条鷹匡。
この人が天くんとりっくんを引き離した張本人。
何と次は私を狙っているようだ。
お姉ちゃんと一緒でも構わないと言っている。
でも正直、今の生活を不便に感じてはいない。
お互い、仲良く協力してやっていけてると思う。
あの日の事故で両親を亡くしてから、私たち2人はお互いを支えあって生きていこうと約束したから。
私は正直、この男が嫌いだ。
天くんを苦しめている張本人だし、せこい手を使うところなんか大嫌いだ。
そう思うと、自分が九条について行かなければどうしようもない状況に陥ってしまっていた天くんをとても不憫に思う。
私はスマホを閉じ、天くんの寝顔を見つめる。
クマが酷い。ここのところ寝れてないんだろう。
｢ごめんね……力になれなくて……｣
天くんの頭を撫でている自分の手が滲む。
だんだんと視界が歪んでいく。
ここで泣いたらお姉ちゃんにも天くんにも、心配させるだけだ。
そう思いぐっと抑える。
そんなとき、お姉ちゃんがお皿を持ってこっちに戻ってきた。
｢ありゃ、天くん寝ちゃったか｣
｢うん。すごく疲れてたみたい｣
｢そっかそっか…まぁ仕方ないよね。中学生が理解できるような勉強内容じゃないもん。しばらく寝かせてあげよう。｣
寝れる時に寝とかないとしんどいからね。と言いながら、お皿を2つテーブルに並べる。
｢天くんの分はラップしてレンジに入れとくね｣
｢うん。｣
お姉ちゃんがこっちに帰ってきてから、2人でいただきます。と言い、天くんを起こさないように、控えめの声で話しながらお昼を食べる。
食べ終わり、お姉ちゃんが食器を片付けてくれる。
｢天くん、大丈夫かな…？体調もだけど、精神的に限界が近い気がするんだよね…｣
｢うん…｣
お姉ちゃんは心配そうに、私の膝の上に頭を乗せて眠っている天くんを見つめた。
私も少し、いやかなり心配だ。
天くんの頭を撫でる。
今の私は天くんに対して、｢頑張れ｣という気持ちと｢もう頑張らないで｣という気持ちが交わって頭の中がぐちゃぐちゃだった。
それから2時間後の14時過ぎに天くんが目を覚ました。
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作成日時：2018年10月21日 23時
