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そして卯ノ田は拳を振りかぶった。
反射的にボクは目をつぶった。
｢おい！いい加減にしろよ卯ノ田！｣
殺気立ってボクの顔を殴ろうとしている卯ノ田を止めたのは、ボクが小学生の頃から仲良くしている与島だった。
｢お前、黙って見てたらいっつも七瀬に突っかかってばっかだし、如月と帰るために部活サボるし…怒られんの俺なんだよ！いい加減にしろよ｣
いつものおふざけキャラとはほど遠い。
本気でキレてる。
でもあいつがキレてるのは、先輩達に怒られるからってだけじゃない気がする…
｢これ以上俺の親友に手ェ出すならタダじゃ済まさねぇぞ…｣
(親友…か…)
｢チッ…お前が怒られることなんか知ったことかよ。バカみたいに真面目に部活なんかやってられるか｣
｢じゃあ辞めればいいだろうが！無理してバスケやれなんて誰も言ってねぇんだよ！｣
｢……ﾁｯ。うるせぇなぁ…覚えとけよ七瀬。｣
与島に聞こえないようにボソッと呟き、ボクの胸倉を突き飛ばすように離すとボクをひと睨みして、帰って行った。
｢大丈夫か！七瀬｣
｢あぁ、与島…ありがとう。正直助かった｣
｢はぁ…ほんとあいつ厄介だよな。部活もやめてくんねぇかな……俺が先輩に怒られんだよなぁ…｣
溜息をつきまくってる与島に少し同情したボクは、珍しく与島を慰めてみる。
｢うぅ…七瀬に慰めで頭を撫でられる日が来るとはなぁ……何か嬉しいような悲しいような…｣
｢なぁに？ボクが珍しく慰めてるっていうのに…｣
｢あはは…ありがとな。それより如月が休んでるのって、ほんとに葬式行ってるからなのか？｣
｢んなわけないでしょ。雑誌の撮影だよ。あの子モデルとかやってるから｣
｢ほぇ〜。やっぱやってたのか〜。確かにカメラ映えしそうな外見してるもんな〜｣
いつの間にか立ち直って感嘆の声をあげる与島。
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作成日時：2018年10月21日 23時
