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｢あ、Aちゃん！今帰り？｣
｢あ、卯ノ田くん。そうだよ〜｣
｢俺も今帰りなんだけど…一緒に帰らない？｣
…嘘だ。
こいつもバスケ部。
与島は暇がないくらい忙しいと言っていた。
なのに帰れるはずがない。
でもボクがそんなことを言ったところで用事があるから帰るんだと言われれば終わりだ。
(あぁ…また彼女が取られる…)
無意識のうちに彼女を取られたくない。
そんなことを考えていた。
取られる…？
取られたくない…？
｢っ…！｣
何を考えているんだ…
別に彼女はボクの恋人ではない。
(何で…)
｢あーごめんね？私今日は七瀬くんと帰るから｣
｢え、七瀬さんと仲良かったの？ただのクラスメイトじゃなかったっけ？｣
彼女が断るとすぐに怪訝な顔をボクに向けた卯ノ田。
でも彼女が断って、ボクと帰ることを選んでくれたことに少し喜んでいるボクにとっては、そんなことはどうでもよかった。
｢んー仲悪いわけじゃないし…｣
｢じゃあ俺も一緒に帰る。いいでしょ？｣
それでも食い下がる卯ノ田。
正直ボク的には着いてきて欲しくはない。
｢だーめ！今日は七瀬くんと二人で帰らせてよ！｣
｢…！｣
"二人で"
この言葉に単純に喜んでいる自分がいる。
不服そうな顔をしながらも諦めた卯ノ田。
｢じゃあ明日は一緒に帰ろうな。｣
｢うん！｣
さり気なく明日一緒に帰る約束をして帰って行く卯ノ田。
……彼女には見えないようにボクを睨みつけて。
｢ごめんね？行こっか。｣
｢ううん…大丈夫…｣
それからしばらく二人で黙って病院までの道を歩いた。
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作成日時：2018年10月21日 23時
