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夏休みはあれから滞りなく進み、呆気なく終わりを迎えた。
今日から新学期。
面倒臭いと思いつつも重い足を引きずって学校へ向かう。
｢お。はよ〜！七瀬！！｣
｢おはよ…｣
｢んだよ、元気ねぇな〜｣
｢そういう気分じゃないの…君は相変わらず元気だね……｣
｢そうか？？そうでもないと思うけど…｣
｢謙虚でいいと思うよ。｣
そうかなぁ〜なんて照れてる与島。
(別に褒めてないんだけど…)
先生の話を頬杖をついて適当に聞き流し、ふと彼女の方を見る。
しっかりと先生の方を向いて話を聞いていた。
真面目に聞いているのは極少数だった。
ボクも一応聞いておこうと思い、すっと先生の声に耳を傾ける。
｢二学期の委員会と係を決めるぞ｣
ボクは正直、委員会なんて何でも良かった。
だからみんなが積極的に立候補する中、その様子を黙って見ていた。
順々に決まっていき、いつの間にかボクは如月さんと同じ委員会になっていた。
人権委員。
いかにも面倒くさそうな委員会だ。
委員会が決まったその日の放課後にさっそく呼び出しを食らったボク達は、呼び出された教室へ向かう。
その間、お互いに一言も話すことは無かった。
でも別にその時間が苦ではなかった。
話された内容を要約すると、人権集会というものがあり、その集会のために人権とは何か、人と関わることについてなどを作文用紙にまとめて来いというものだった。
作文用紙が渡され、それぞれで話し合いを始める。
ボクは渡された紙を見てうんざりする。
如月さんが紙を覗き込んで、｢何だか…大変な委員会になっちゃったみたいだね｣なんて、困ったように笑った。
｢そうだね｣とだけ返して、鉛筆を取り出す。
｢人権かぁ……よくわかんないよね…｣
｢そうだね…いじめとかそういう事について書けばいいのかな…｣
｢いじめ…かぁ……｣
そう呟くと彼女は少し悲しそうな顔をした。
そして暗い表情のまま口を開いた。
｢心貧しいよな……一人じゃ何も出来ないくせに…｣
そう言った彼女の目つきは鋭く、少し口調にも恨みのようなものがこもっていた。
すぐにはっと我に返ったように表情は戻る。
｢ご、ごめんね？今のは気にしないで｣
そう言って彼女は眉を下げて笑う。
結局作文用紙には、箇条書きのための黒丸しか書かれていなかった。
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作成日時：2018年10月21日 23時
