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幸せを願って十つ ページ12

「お客様、御友人がお見えになられておりますが」




お店の女の人が云った。僕は、「だって、鏡花」と鏡花に声を掛ける。





「いえ、其方の方ではなく貴方に……」






「……僕?」






自身を指さしながら聞くと、ハイ、と云ってその人は去っていった。





「…とはいっても、あっちには国木田や人虎がいるから出られない……。






 …よし、窓から出よう!






 鏡花!行ってくるね!直ぐに戻るよ!」






「分かった。」






鏡花が短く返事を返してくれ、僕は窓から出て、お店の前まで行く。






すると、そこに居たのは相も変わらずの真っ黒な服に、センスの悪い帽子を被った……







「……中也」





中也は此方に気付くと全くもって似合わない笑顔で云った。






「仕事、失敗したんだってな?」






「だったら悪いか。僕は鏡花の処に帰るから」






僕がそう云って去ろうとすると、中也はニヤリと笑いながら云った。






「その鏡花って奴の命が惜しければマフィアに戻った方が良いんじゃねえか?」






僕はその言葉に反応して中也を睨みつける。






どういうことだ。






そう聞いてやりたかった。








そんな僕の考えを汲み取ったのか、中也は言葉を続けた。






「手前の異能がありゃ横浜を壊滅させることが出来るだろう?




 そんな異能力持った奴を首領が探偵社に預けると思うか?」







「……!だから、ポートマフィアに来いって?




 でもさ、アンタたちが一番分かってるはずだよ。僕がそんな事するはずないって。






 僕が鏡花の為にならないような事、今までした事なんか無かったでしょ?」







「だからこそだ。もし、誰かが、その鏡花に、何かしたら?





 逆に、鏡花って奴の為なら手前は何でもする。





 この世界そのものがソイツに仇をなすなんて考えたら、精神が大して強くもない手前は…






 …分かるだろ?」






「…僕が戻ったら、鏡花に手を出すなよ」







「分かってるよ。そういう命令だからな」







僕が中也の隣に行くと、橘堂から国木田が出てきた。







「おい小僧!何処に行く気だ!」






国木田は僕を見ながら云った。中也は眼中に入っていないみたい。








「国木田、僕もう鏡花の隣に居られないよ。





 ……国木田が僕の邪魔するなら、この横浜を壊滅させる。






 僕の異能力なら、簡単に出来るんだから」







いつかの君のように僕は笑った。

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夜巾恵美(プロフ) - すごくいい話でした!更新待ってます! (2016年12月28日 17時) (レス) id: 8e230ece60 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ - 皆さんそんなに言わなくても....わざとやったわけではないんですし。あきしぐれさん、小説続けて頂けないですか?すごくこの小説好きなんです!! (2016年12月26日 16時) (レス) id: 45fe2ce06f (このIDを非表示/違反報告)
葡萄マスカット - そんな追い詰めないでください!私も外し忘れることありましたし!続きが気になりますし…!続けて頂けないでしょうか? (2016年12月22日 18時) (レス) id: 61468344c7 (このIDを非表示/違反報告)
優心(プロフ) - 続きがとても気になります…!読みやすいし面白いので続けてくださると嬉しいです…! (2016年12月22日 18時) (レス) id: a484890e73 (このIDを非表示/違反報告)
鬼血柩(プロフ) - 私も前に外し忘れたことがあるから大丈夫ですよー。(´・ω・`)言われてすぐに外したんだから大丈夫でしょう。 (2016年12月22日 18時) (レス) id: 6d22c5081a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきしぐれさん | 作成日時:2016年12月17日 20時

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