Normal END ページ33
.
「…参りました。ぼくの完敗ですよ」
「ぇ、珍しいね。魔人から降伏する何て」
「生憎、此方は精神的に参っている状況なので。太宰くんと頭脳勝負する迄の気力は有りませんよ」
フェーヂャは諦めたのか、両手を上げて薄く嗤う。
その様子を見て、太宰くんは呆れたようにじっとりと私を見やった。
「そろそろ許してあげたらどうだい?魔人が私と心中する勢いなのだけど」
「……。」
「確かに魔人は一見中性的な女性に見えるよ?でも野郎な事は事実だし魔人って時点で嫌だよ私。心中するならAちゃんみたいな可愛い子が佳い」
嘆く太宰くんは無視して、フェーヂャを一瞬視界に映した。
白い肌は更に青白くなり、澱んでいた瞳は更に虚ろになっている。「嫌い」と言われただけなのに、それ程ショックだったのか。
見兼ねた私は彼に歩み寄り、節くれだった手を両手で取って包んだ。
「……嘘ですよ。私がフェーヂャを嫌いになる訳が無いでしょう」
視線をフェーヂャから外しながら伝えると、後ろから「A氏ツンデレ属性持ちとか聞いてないでござる」「まっじでてえてぇ」と野次が飛んできた。
フェーヂャの顔を
「…………本当に、嫌われたかと思いました」
「真っ赤な嘘ですから。貴方の自慢の脳は本日は休業日だったのですか?」
私の首元に顔を埋めて動かないフェーヂャの背中を摩り、私は彼の耳に囁いた。
「私がこの世界に留まる事を許してくれますか?勿論元の世界にも行き来しますよ」
「………分かりました。許可します」
「フフ。フェーヂャ、大好きですよ」
「魔性なA氏も推せますな……」
「ペンギンちゃんあざと〜い。…ジェイド隣で興奮しないでくんね?」
「いえすみません、つい」
「顔赤くして鼻息荒くした状態で謝られてもセイイってやつ感じねぇんだけど」
「変な所で性癖開拓しないでくれますかね」
「魔人も妹相手にはポンコツなのは変わらないねぇ……此れじゃどっちが " 魔人 " なのやら」
「……あれ、小エビちゃん。おーい…動かねぇんだけど」
「脈がありませんね」
「し、死んでいる……だと…?」
一件落着とした所で、私はフェーヂャに質問した。
「若し太宰くんが来なかったらどうする心算だったのですか?」
「此の部屋にいる人間を凡て殺してぼくも死ぬ予定でした」
「太宰くんが来て佳かったです、本当に」
446人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時