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97話 ページ49

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「ペンギンちゃんの照れた顔が見たァい」



と、誰かが呟いた。いや、彼女を『ペンギン』と称して呼ぶのはこの学園ではただ一人しかいないのだが。


その呟きに、紅茶を淹れていた彼の片割れと書類整理をしていた幼馴染は仕事の手を止め、激しく首を縦に振って共感した。



確かに彼女は常にポーカーフェイス。

どんなに抱き着こうが、蜂蜜のように甘い声音でチョコレートよりも甘い台詞を紡ごうが、彼女は顔を赤くすることも慌てることも無く、遂には "お世辞" だと捉えられてしまう。

どんな時にあの涼し気な仮面は外れるのか。
彼女を想う男達は気になって仕方がないのだ。


次々に彼女に言い寄ってくる男共を軽く流すその姿はまるで社交辞令のそれ(・・)に等しい。



『好きな女の子に意識してもらいたい』



そんな悩みは思春期の男子ならば誰しもが持つだろう、逆もまた然り。

けれども、その女の子かそもそも恋愛感情を持っているのかすら定かでは無い上に、生まれや育ちすらも自分達は知らない。



まさか本人に直接「貴女の過去を知りたいのですが、包み隠さず教えてください」とデリカシーの欠片もなく聞き出す訳にもいかない。そんなことを聞いてみろ、翌日から養豚場の豚を見る目で見られてしまう。



つまり、彼らの恋路はスタートラインにすら立てていないのだ。3人は頭を抱える。



そこで何かを思いついたのか、幼馴染は顔を上げた。



「詳しい方に聞けばいいのでは」



幼馴染のシンプルかつ的確なアンサーに、双子は顔を見合せて数回瞬きをする。



「「それだ/です」」



最有力な兄や、その友人だっていつ来るのかは分からない。それ以前、聞いた瞬間に刺身にされてしまうだろう。あのシスコンのことだ。きっとやりかねない。



だが、この学園内で最も彼女に詳しい人物には心当たりがある。

彼女を見た瞬間歯を食い縛って尊いと連呼し、彼女を神のように崇め奉り、よく発狂して喚く生徒だ。


善は急げ。3人は想い人をよく知る人物の元へ殴り込み………では無く、訪れに向かった。

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アババババ - 80話の最後のフロイド君の発言で草生えました! (2022年11月19日 23時) (レス) @page32 id: 222bdc0355 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» 承認しました!こちらこそよろしくお願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - あ〜ちゃんさん.......私も好物なので有り難いです......!ぜひ御願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: fc34ad99ff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あ〜ちゃんさん» 柘榴です!よろしくお願いします! (2020年7月23日 18時) (レス) id: f20993b4a3 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» OKです!ありがとうございます!! (2020年7月23日 13時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月29日 0時

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