15話 ページ16
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暫くするとドアが開いて、部屋から制服を着たA氏が出てきた。あのモフモフの白い帽子はそのまま被っていた。
「お待たせしました、イデアくん」
「……!!」
………何と言うか、この感情をどう表すのか僕には分からなかった。
イグニハイド寮生の制服を着たA氏はとても可愛かった。可愛すぎて僕はどう反応したらいいのか詰まって固まった。
いつもの僕なら発狂して辺りをのたうち回っている所だけど、A氏の前でやったら間違いなくドン引かれる。美人の真顔ほど怖いものは無いんだよ。養豚場の豚を見る目なんかで見られたら僕は生きていけない。
僕がセメントの如く固まっていると、A氏は心配して覗き込んできた。やめて心臓に悪い。
「似合いませんでしたか…?」
「そ…そんなことない……!似合って、るよ………その、すごく」
控えめに言って尊い。
「ありがたいお言葉、感謝申し上げます」
「ほ、ほら、行こうか」
すっかり紅潮した顔を隠すように、A氏を連れて大食堂へと向かった。
鏡をくぐり抜けると、行き交う人の数が増えていた。
A氏は周りを見渡しつつ、しっかり僕の後ろに着いてきていた。前にテレビで見たカルガモの子どもみたいで、また可愛らしかった。
「ここが大食堂。……こっちの厨房まで行って頼みたいものを言うんだ」
「なるほど…。おや、あの方達は人間ではないのですね」
「うん、ゴーストっていうんだ。あ…でも悪さとかはしない良い人たちだから安心してね」
そうなのですか……と物珍しそうにゴースト達を見つめるA氏。
「……き、気になってたんだけど、この帽子は取らなかったんだね」
長蛇の列に並びながらA氏に尋ねてみた。
「ええ。兄とお揃いの物なんです。……思い入れが一際強かったので…」
「…そっか」
目を細めて微笑む彼女を見ると、兄を心の底から慕っているようだ。兄の方は見たことないけども、ここまで慕われているとなるとよっぽどの聖人なんだろう。
この学園にも同じく "双子" はいるけど、この雲泥の差はなんなのか。
あの厄介ウツボ兄弟に絡まれることだけは避けてあげたい。
…………あれ、これフラグ立てちゃったかな。
まぁいいか。
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明日羽(プロフ) - 22話「ナンヨウハギ先輩」と書いてありますが、イデア君のことを言っているなら「ホタルイカ先輩」ではないですか?意図的にやっていたらすみませんm(_ _)m (2022年8月24日 21時) (レス) @page23 id: 671ce2cf6e (このIDを非表示/違反報告)
あかさたな - かなり前からこの作品見てますもう尊すぎです…今更なんですけどツイステって中学じゃなくてミドルスクールだったような気がします。ツイステマジで初心者なので間違っていたらすみません… (2022年1月16日 11時) (レス) @page41 id: 2a968727d8 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ぴぃやああああああああああああああああああ無理、無理、兄弟愛尊いよぎぃやあああぁああぁぁあぁぁあああぁぁああああぁあ。 好きです。 (2021年1月11日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - そらちゃんです!!さん» うわああああああああああありがとうございますううううううう(歓喜) (2020年6月28日 16時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
そらちゃんです!!(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおすきですうううううううううううううううううううう、!!!!!特にユウの絡みが好きです! (2020年6月28日 10時) (レス) id: c4f3cb5b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月16日 22時