QKの短編集

wtnb 大怪我 ページ13

izw「撮影お疲れ様〜。はい、差し入れ」

伊沢はそう言い今日参加していたメンバーに飲み物を渡していた。
俺、渡辺はもちろんオレンジジュースを貰った。

kwmr「差し入れも貰ったし、終わったしもう帰るか〜」
sgi「そうだね」

みんなが帰る気ムードの中乾が話しかけてきた。

ini「一緒に帰りませんか。大学の友達休んじゃってて帰る人居ないんですよね」
wtnb「ああ、いいよ全然」

乾とは特段仲がいいという訳でもないし悪い訳でもない。ただ、出身地が一緒だったりしただけだ。でも、乾という彼は犬のようにしっぽを振って懐いているような感じで俺も乾に甘いんだろうなと自覚し始めている。

ini「じゃ、お先に失礼します」
wtnb「失礼しまーす」

オフィスを出て乾と2人きりになる。一緒に帰るなんて何ヶ月ぶりだろう。
大きな横断歩道で信号待ちをしていた。

wtnb「編集捗ってる？」
ini「ええ、ノブに手伝ってもらって結構進んでますね」
wtnb「よかったよかった」
ini「あ、青に変わりましたね。行きましょう」

大勢の人達が一斉に動き出す。
先頭の方に居た俺らは目の前に乾以外には誰もいない。

何となく、俺は右の方を見た。

大きなエンジン音を轟かせながら突進してくるトラックが1台来ていた。
しかも、乾に向かって。
でも乾は気づいていない
まずい

このままじゃ乾に当たって怪我をしてしまう。

wtnb「乾！！危ない！！」

そう考えるや否や勝手に身体は動き出し、俺は乾を突き飛ばしていた。

だけど、俺の体は吹き飛ばされ硬いアスファルトに激突した。


痛みなんてもはや感じない。大勢の人が集まってくる様子が見える。
乾が俺の名前を叫んでいる。乾の命が守れてよかった。

ああ、だんだんと視界が暗くなって行く。
音だけは聞こえるが沢山の声と車の音がする。

沢山皆と過ごしたかったしクイズで対決したかったな。
もう、終わりか。

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