愛され方を忘れた男 (ページ15)

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「亮やない！亮は何も悪くない！亮の事悪く言うな！あいつは何も悪くない！」

信ちゃんの胸ぐらを掴み、顔を近づけて怒鳴りつける。本間に無意識の行動やった。その後ずっと叫んでる僕を渋やんとよこちょが引き剥がし押さえつけられる。その間ずっと叫んでて信ちゃんは「やっぱり亮…」なんて呟いてる
この状況で亮が来たら終わる。僕らが終わってまう。何とか打開しようと動き出そうとする

「……章、ちゃん?」

一番会いたくない人がこの楽屋にやって来てしまった。その場は沈黙が支配していた
先に動いたのは信ちゃんだった。ゆっくりと亮に近づいていく。いや、ゆっくりに見えただけだった。それと同時に亮も駆け出していた。世界がゆっくりに見えた

「章ちゃん！」

「亮！」

叫んで、手を伸ばす。亮が僕の腕を掴んで抱きしめる。本間に一瞬なんやろうけど僕には世界がゆっくりにみえた

「ごめん、すぐ行けんくてごめん」

謝りながら力強く抱き締めてくれる亮の胸に顔を埋めて泣いた。安心からの涙。お兄ちゃん組はどんな顔しとるんやろ。多分、ポカーンってしてるんやろうな
亮が僕にしてきた事で僕が悩んでるって思って助けようとしたのに当事者に抱きついとるもん。そりゃぁそうよな

「ヤス…」

「章ちゃんと、亮ちゃん？なんでなん…」

亮と一緒に来たらしい大倉とマルの声が聞こえる。お兄ちゃん組も、たぶんまだ固まったままだ

「なぁ亮。どういうことや。お前がヤスに暴力振るってたん？でもなんでヤスは亮に抱きついてるんや。おかしいやろ」