17話 ページ24
自分の過去をアイツに話してからというもの・・・特に変わったことはなかった
席は隣同士だが授業中はほとんど話さないし、放課後になるとアイツはすぐに部活に行くし、連絡先を交換していないため休みの日に会うこともしない
変わったことといえば、
「A、今日は洋食なんだ」
『今日はお母さんが弁当作ったから』
越前が私のことを"A"と呼ぶようになったことだ
あの話をしてからアイツは私の文句も聞き流して名前で呼ぶ
周りの女子の視線にも気を使ってほしいものだが、もう慣れたものだ
『そういえば越前、』
「リョーマでしょ」
『・・・リョーマ、この前言ってた話本気?』
あと、私もこの昼休みの時間だけ、二人の時には"リョーマ"と呼ぶようになっていた
というのも、そう呼ばなければ返事もしてくれないからだ
教室でもそう呼べと言われたけど、流石に面倒なことになりそうだったため妥協してもらった
「本気だけど?」
『でも部活終わった後って疲れてるんじゃ、』
「別に試合じゃないんだし、アンタと打ち合うくらい平気だから」
話というのは、リョーマが部活の後に家の近くにあるテニスコートで打ち合いに付き合ってくれるというものだった
テニスが楽しいと思うには、テニスに日常的に触れることが第一歩になるのではというリョーマの考えに賛同したのは良いが・・・まさか彼自らが相手をしてくれるとは
部活で疲れているだろう彼にお願いするのは心苦しいのだが、
「俺以外に相手になってくれる奴いんの?」
『それは、その辺のストリートテニス場で・・・』
「無理だね」
『うっ・・・』
「じゃあ、決まりだね。今週末、暇?」
『え、暇だけど』
「ガット張替に行くよ。10時に駅前集合ね」
『いや、一人で行くよ。それに部活あるでしょうが』
「今週は休み。それに引っ越してからガット張替えてないんなら場所分かんないんじゃない?」
『じゃあ、場所教えてよ』
「俺も張り替えるからAのはついで。じゃあ、週末にね」
リョーマのペースに乗せられていつの間にかテニスの相手になってもらうことと、週末に行くのは決定事項になってしまった
まさかここまでお世話になってしまうとは…
『(なんかリョーマに迷惑かけてる気がする・・・)はぁ、』
リョーマの気遣いはとても嬉しいが、それが負担になっていないかが心配なのだ
とにかく週末は彼に甘えるとして、テニスの件はもう一度話をしようと決めて私も教室に戻るのだった
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作者名:アキラ | 作成日時:2018年9月1日 21時