生意気なアイツと人嫌いなアンタ【越前リョーマ】 (ページ23)

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16話ページ23

越前から出たハッキリとした拒絶の言葉を聞いた私は、軽いパニックを起こしていた
過去を思い出したせいで、出かけていた涙なんて一瞬で引っ込んだ

『今の話聞いてた？』

「もちろん」

『なのに、嫌ってどういうこと？』

「言葉通りだけど」

『私はもう関わりたくないの』

「嫌われたくないから？」

『そうよ！』

何度言わせるつもりなのか、コイツは
だんだん腹が立ってきて教室に戻ろうと立ち上がると、

「そう思うってことはさ、もう手遅れなんじゃない」

『え･･･？』

「嫌われたくないってどうでもいい奴には思わないんじゃない。でもそう思うってことは俺は他人じゃなくなってるってことだよね」

『なっ！』

確かに越前の言うことは的を得ている
でも、どうして？どうして越前には嫌われたくない、裏切られたくないって思うの？

私がさらにパニックになっていると、いつもの生意気な声じゃなくて真剣な声が聞こえてきた

「俺はアンタを信じるよ」

『えっ…』

「何があっても俺はアンタを裏切らない」

『何言って、』

「俺がテニスをもう一度楽しいって思わせてあげる」

『っ･･･』

「だからこれから勝手にどんどん関わるから。覚悟してよね、A」

そう言い残してスタスタと教室に向かう越前に私は何も言えなかった
関わるな、そう言ったはずなのにアイツはなんて言った？

　"テニスをもう一度楽しいって思わせてあげる"

『そんなの･･･』

無理だろうって思うのに、心のどこかで期待してしまっている自分がいる
あんなに楽しそうにテニスをする人は今まで見たことがなかった
テニスに見惚れるなんて初めてだった

そんな彼にだからこそ、期待してしまうのだろうか･･･

『って、勝手に名前呼ぶな！！！！！』

久しぶりに家族以外から名前を呼ばれて少し喜んでしまっている自分がいることは絶対にアイツには秘密にすると心に誓って、越前の背中を追いかけたのだった