好き、嫌い、好き 3 (ページ8)

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家族に会う今日。

なかなか天気が悪い。
うーん…、今日はホテルとかじゃないから
割とカジュアルな格好ではあるけど
それでもいつもよりは
キレイめな格好ではあるわけで。

一応傘を持ち、雷鳴るなよーと祈りながら
家を出た。

すると、アパートの前の車に
クラクションを鳴らされた。

ん？と思い覗き込めば

『えっ、翔太？』
｢送ってくから。とりあえず乗れ。｣

あの早起きが苦手で休みの日なんて
朝はゴロゴロしてる翔太くんが
彼女のお出迎えだと？！

｢……お前、今割と失礼なことを考えたろ。｣
『滅相もありません。てか、車持ってたの？』
｢これ親の。そのうち自分のも欲しいけどな。｣

いいから早く乗れ、なんて言われて
おずおずと助手席へ。

｢今日はいつもよりはカジュアルじゃね？｣
『あー、今日はカジュアルレストランだから、普通のワンピースでいいって言われて。』
｢なるほど、じゃあ出発しまーす。｣
『お願いしまーす。』

喋りながらナビに入力した車が走り出す。

翔太の運転とか新鮮。

意外と運転上手いんだなあ。
あと、雑誌によく乗ってる車を運転する男は
かっこいい説、あれは間違いじゃないと思った。

メガネをかけて、服装はカジュアル。
でもいつもよりかっこよく見えるなぁ。

なんてじーっと見たたら

｢彩、見すぎだからね？｣

翔太が顔を赤くして、私の頭を軽く叩いた。

『ご、ごめん。』
｢かっこいいのは分かるけどー｣
『自覚あるって凄いですね。』
｢俺、棒読みきらーい。｣
『私もきらーい。』

ふざけた会話をしながら
家族へ逢いに行く緊張が少しずつ
和らいだ気がした。

思ったより早く着いた目的地。
可愛らしい見た目のお店に
少しワクワク。

｢メニュー見るのも楽しみだな。｣
『ふふ、うん。』

私の希望が飲食系なのを知ってる翔太が
私の心を読むようにそう言った。

ちょっと時間早いけど、
中で待とう、って車を降りる。

『翔太、わざわざありがとう。』
｢帰りも連絡して。｣
『いつもごめんね？』
｢……彩のお迎えは俺の仕事なんで。｣

照れくさそうに言う翔太に笑いながら
手を振ろうとしたときだった。

｢彩？｣

ばっ！と振り向くと、そこには

『郁人くん！』

私のお兄ちゃん。

……鉢合わせしちゃうかもとは思ってたけど、
まさかこんなガッツリとは。

｢…どちらさま？｣
『えっ……と！』

｢はじめまして。彩の彼氏の渡辺翔太です。｣

ハッキリ答えた翔太。
顔が歪む郁人くん。

え、修羅場……？