好き、嫌い、好き 3 (ページ7)

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side ふっか

彩と翔太が付き合った日から
ほぼ毎日のように翔太がお迎えに来る。

店には入らず、裏口のガードレールに腰掛けて
彩を待つ翔太の姿は
イケメンなだけあって絵になる。

そして、今日もお迎えに来ている翔太。

｢よっ、今日もお迎えご苦労。｣
｢ふっかを迎えに来てんじゃねえよ。｣

そして俺の後ろから、彩が出てくる。

『翔太、寒くない？毎日ごめんね。』
｢いや、問題ない。｣

そう言いつつ、鼻は真っ赤だし
少し震えてる。

『コンビニで暖かいの買ってから帰ろ。』
｢コーンスープがいい。｣
『わかったわかった、お姉さんが買ってあげるよ。』
｢え、彩が姉ちゃんはヤダ。｣
『おい、失礼だぞ。』

会話は前から変わらない。
彩の口も変わらず悪い。

でも空気が違う。

……羨ましい、とは思う。
でも、幸せになってほしい、とも思う。

『じゃあ、ふっかお疲れ様！』
｢お疲れ様。明日は休みだよね。｣
『うん、明後日また来るね。』
｢うん、よろしくね。｣
『またねー！』
｢じゃあなふっか。｣
｢おう、またな。｣

翔太が自然に彩の手を繋ぐ。
彩は少し照れくさそうに見える。
街灯に照らされた彩は心做しか
顔が赤い。

はぁ、なんとなくため息を吐けば
後ろから軽く頭を叩かれた。

｢った！｣
｢そんな顔するくらいなら見なきゃいいのに。｣

阿部が呆れ顔で俺にそう言う。

｢…早く慣れたいんだよ。｣
｢ふっかはドMだねー。｣
｢うるせえ！そういうお前はどうなんだよ！｣
｢ん？変わらずかなあ。｣
｢は？｣
｢変わらず好きだし、大切だけど、今の関係が好きかな。｣

前に聞いた阿部の話だと
毎日電話してたらしい。

｢今も毎日してるの？｣
｢さすがに今はしないよ。彩からLINE来たりしたら返すけど。たまには電話しようみたいな話はしたけどね。｣

翔太が妬いちゃうし。
って笑う阿部。

｢別に奪いたいとかは思わないけど。彩の彼氏になれるやつはやっぱり羨ましいよ。｣
｢それはそうだよ。俺もそうは思うけど。でも、幸せそうだからね。｣
｢……だよな。幸せなんだもんな。｣

翔太たちの姿が見えなくなると
マフラーを巻きながら阿部も
店から出ていった。

早く慣れたい。
でも慣れない、この気持ち。

いつになったら、
終わるのかはわからないけど。
でも、これが俺の恋だから、
仕方ないんだよな。

俺はまたため息を吐いて
裏口から店に戻った。