好き、嫌い、好き 3 (ページ38)

今日:24 hit、昨日:5 hit、合計:82,594 hit

129 ページ38

触れた唇が熱くて思わず振り払った。

『な、んで……？』

離れた瞬間、
寂しそうな目が見えた。

そして、苦しそうに呟いた。

「彩さ、前に俺が言ったの覚えてる…？」

私は蓮から降りながら
何を言ってるか分からなくて
1人混乱していた。

「自覚がないと、何があっても文句は言えない。」

あの日、
家族に会った日に
言われたあの一言を
私は思い出した。

翔太にも、ふっかにも言われた。

自覚って、こういうことなの？

「…俺、彩が好きだよ。」

熱で潤んだ目で私を見上げて
伝えてくる蓮。

私はどう答えていいか、
わからない。

1人で来ちゃダメだったんだ。
ある意味蓮を傷つけた。

翔太にだって申し訳ないことをしたんだ。

私ほんとなにやってんの…？

「…泣くなよ。抱きしめたくなる。」

『ば、ばか！泣いてない！…あの、蓮。』

「答えなんて知ってるから言わないでいい。」

自分を笑うように
悲しい笑顔を見せた蓮。

「…でも、すぐ気持ちを消したり出来ない。だからさ。」

蓮が何を言おうとしてるか、
何となく伝わってくる。

そして、それを私は受け止めなきゃ
いけないんだ。

「もう、彩とは会わない。俺が我慢できない。彩も、俺と関わろうとしないで。」

『……っ。わかった。本当にごめん。』

「彩、今お前は俺を責めるとこ。キスなんかしやがってって。」

ははっ、て笑って
薬を水で流し込んで
布団に潜り込む蓮。

「彩、今なら終電ギリギリ間に合う？」

『…間に合うよ。』

嘘、間に合わない。

でもここにいる訳には
行かないから。

『じゃあ、お大事にね。』

「おう、急に呼び出してごめん。来てくれて助かったよ。ありがとう。」

優しく笑う蓮。

私って本当に何をやってるんだろう。

そんな蓮に、私は歪んだ笑顔しか
出来なかった。

走って、今までのことを忘れるように
最寄り駅へ向かう。

駅に着くと、最後の電車が
走っていくのが見えた。

蓮、一人で大丈夫なのかな。

ダメだよな……。

康二なら歩いて行けるよね。

康二にLINEを打つと、
画面に涙を落とす。

【蓮が風邪でしんどそう。助けてあげてください。】

……

私は、何をしてるんだろう。

翔太、蓮、ごめんなさい。