好き、嫌い、好き 3 (ページ35)

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『翔太、迎えに来てくれてありがとう。』

私が駆け寄ると頭を撫でて
「楽しかったか？」
って聞いてくれたから、
全力で首を振った。

そんな様の私を見て、
ふはっ、っていつもの笑い声。

「そりゃよかった。久しぶりだったもんな。朱音ありがとな。」

「いやいや、こちらこそ彼女さんお借りしてすみませんね。」

「その日のうちに返してくれたら問題ない。なぁ照？」

「うん、彩ちゃんありがとう。」

『いやいや、こちらこそ彼女さんお借りしてすみません。お返しします。』

同じように答える私に3人が笑ってくれて
うん、やっぱりこの空気感好きだなって思った。

「私たち行くとこあるから。」

と別れて歩く私たち。

「朱音と何話したの？」

『うん、謝られた。』

「.......照のこと？」

『気持ち知ってたって。だから、知ってることを知ってたから大丈夫って言っといた。』

「知ってたんだ？」

『見てればわかるもん。』

私がそう応えると、
翔太は呆れたように言った。

「自分のことには鈍感なのにな。」

私の頭を軽くペちっと叩く。

『な、なんだよそれ。』

「いや、まぁ、そういうもんだよな。彩は。」

頭に思い切り？？？マークを飛ばしながら
翔太と帰路につく。

私の家の前で手を振り別れて
部屋につくと、LINEが鳴った。

珍しいな。蓮からの個人LINE。

たった一言。

【風邪ひいた。たすけて。】

は？
あれ？
目黒蓮一人暮らしじゃないよな。

【親御さんは？】

私からの返信はすぐには既読にならない。

え、どうしよう。
康二に聞いた方がいいかな。

私は康二の連絡先を出そうとしていると
蓮から着信。

私が慌てて出ると、
苦しそうな息遣いが聞こえてくる。

『蓮？！大丈夫？』

「親も.....弟も...... いなくて.....。住所送るから、助けてくれない？」

『わ、わかった！今行くから、待ってて。』

通話を切ると私はすぐに
必要最低限の荷物を持った。

時間的に終電までは時間あるけど、
帰れるかなぁ。

出費は痛いけど、タクシーで帰るしかないな。

これが、一種の罠とは知らず
私は部屋を飛び出した。