好き、嫌い、好き 3 (ページ27)

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翌日。

みんなに会うのも嬉しかったけど、
本来の目的はこれではなくて。

そう、今日こそ本番。

お墓参り、である。

大阪から関東へ行って
それから1度も来ていない。

お義父さんとお義母さんが
代わりに何度も来ているって聞いた。

誘われても断ってた。

親不孝者だ！
と、お義父さんに怒られたこともあったな。

まぁほんとその通りなんだけど。

急にいなくなったのはあっちじゃないか！
っていう気持ちと、変な意地で、
そして、ここに来たら思い出すであろう
両親を亡くしたあの日。

恐怖しかなかった。

でも来てみたら怖さより、
懐かしさがあったし、
お父さんとお母さんに
会いに行かなきゃ、って素直に
思えたことにほっとしたんだ。

「あ、ここじゃん。」

翔太がみつけたそれは
【和田部家】
と書かれた墓石。
綺麗に磨かれていて
雑草もそんなに生えてない。

『お義父さんたち、しょっちゅう来てるんだね。』
「綺麗だもんな。」
『私なんて初めてなのにね。』
「おせーよとは思われてるかもな。」
『大変申し訳ない。』
「来てくれて喜んでるよ、きっと。」

翔太はそう言いながら、
目につく雑草を取り除き
少し枯れてきた花を
買ってきた花と取替えた。

『お線香ってここ？』
「ん、たぶん。」

準備が終わり、
私は腰を軽く下ろし
墓石と向き合った。

手を合わせて、目を瞑り
心の中で2人に呼びかける。

(お父さん、お母さん。彩だよ。
あんまり身長大きくならなかったから、
わかるかな。でももう21歳になりました。)

なぜだか、涙が溢れてくる。

(来るのが遅くなってごめんなさい。
どうしても怖くて来れなかった。
親不孝でごめんなさい。
でも連れてきてくれた人がいたの。)

翔太がいなかったら来れなかった。
私には、勇気がなかった。

(大事な人だよ。
だから、これからもずっと一緒にいたい。
2人とも見守っててね。)

2人にお願いが終わり
涙を1粒零しながら私は目を開いた。

横をむくと翔太は目を瞑って
2人に語り掛けていた。

しばらくすると目を開く翔太。

そして私を見ると驚いた顔をした。
指で私の涙を拭った。

「ちゃんと、話せたか？」
『うん、伝わったと思う。』
「そっか。なら良かった。」

翔太が優しく笑ってくれる。
私もつられて笑う。

「じゃあ、帰るか。」
『うん！』

二人でほぼ同時に立ち上がる。

私は両親に向かって
『また来るね。お父さんお母さん。』
翔太も
「またお邪魔します。」
そう伝えて歩き出した。