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大阪かぁ……。

押し入れの奥底にしまい込んだ
大阪の時のアルバムを引っ張り出す。

そこに写ってたのは
久々に見た両親と、髪の短い幼い私。

ソフトクリームを食べてる私が
鼻につけてしまって、
それを見て大笑いしてる父親。

抱きしめ合いながら満面の笑顔の
私と母親。

……ポタッ。

零れた涙がアルバムのフィルムに落ちる。

もう一生帰らないとさえ思ってた。

でも、私は前を向くと決めたんだから。

翔太と一緒に、帰ってみよう。


そう前向きに思いながらも
やっぱり涙は溢れてしまう。


洗い物をしてくれた翔太が戻ってくる。

私の頭を優しく撫でてくれる。


「親父さん、イケメンだな。」
『ふふ、私父親に似てるって言われてたなあ。』
「そうだな、でも大人になってきたからなのか、お母さんにもよく似てるよ。」
『すごい優しい人だった。』
「優しそうな顔してる。」
『ははっ、なにそれ。』
「うん、彩の両親って感じだな。」

翔太がアルバムの私たちを
優しく褒めてくれる。

パラッとめくっていくと、

『あっ、康二。』
「え、なにこれ。めっちゃ可愛い。」

康二と康二のお兄ちゃんに挟まれて
笑ってる私が現れた。

『康二可愛いよね。』
「うん、面影もあるけど、なんか可愛らしいな。」

私の手を握って、
離れなかった康二を思い出して
思わず笑っちゃう。


「辛いことも悲しいこともあったけど、いいこともたくさんあったんだな。」

翔太の言葉に、
私は、そうだね、って頷いて。

「いい思い出、もっと増やそうな。」

どんどん、優しくなっていく翔太に
私はもっと甘えてしまいそうだ。

『うん、翔太と一緒ならきっといい思い出増えるね。』
「当たり前だろ。」

私を優しく抱きしめる翔太の胸に
顔を埋めて、少しだけ泣かせてもらった。


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そして、冬休みがやってきた。

【彩ちゃん気をつけていってきてね。みんな彩ちゃんに会いたがってたから、もし時間あれば会ってあげてね。】

康二からのLINE。
連絡先も添付されている。

懐かしい名前だな。

「彩、荷物大丈夫?」
『あ、うん。準備は万端です。』
「よし、行こうか。」
『ついてきてくれてありがとう。』

私の言葉に翔太は照れくさそうに

「当たり前だろ。」

って呟く。


さぁ、行こう。
過去と未来をちゃんと前向きに
変えられるように。

私が自分で、自分の力で前を向くように。

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黒雪 冬華(プロフ) - またしてもすみません、すぐ外します。 (2019年10月16日 22時) (レス) id: 4eb5adcd65 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年10月16日 22時) (レス) id: fca7c03b31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SNOWSNOW | 作成日時:2019年10月16日 22時

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