好き、嫌い、好き 3 (ページ3)

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side 康二

先を歩く蓮になんとか追いつこうと走る。

あ、見えた！

そんな時には、ほかのお姉さんに声を
掛けられている蓮。

俺はそれをひったくるように、
蓮の腕を掴んだ。

｢……こ、うじ？｣

俺を弱々しく呼ぶ声も無視して
そのまま駅に向かって歩く。

駅前に近づくと蓮は荒々しく
手を振りほどいた。

｢な、んで、こんなことするの？｣
｢蓮、落ち着き。今他の人としてても、何も生まれんで？｣

俺の言葉に今まで1番大きな声を出した。

｢うるっせぇんだよ！！俺の何がわかんだよ！｣

蓮の言葉に、俺は思わず掴みかかった。

｢わかるわけないやろ！！自分を大事に出来んやつが、好きな人に好きになられるわけないやろが！！｣

俺の言葉に泣きそうになって
すぐ、体育座りのようにくるまってしまった。

｢なぁ、康二……。｣
｢なんや。｣
｢俺……こんな気持ち知りたくなかったっ…。｣

くるまってるから顔はわからんけど
きっと蓮は泣いてる。

そんなやつの顔、無理やり見るわけいかんから。

俺は蓮の肩を抱いて

｢蓮はちゃんと恋したんや。それを誰も責めたりせん。だからさ、そんな泣くなや。ちゃんと自分を褒めたり。｣

蓮はほっといても女にモテるから。

色んな女の子と遊んでたのも知ってる。
そのオシャレな服もお姉さんたちに
買わせたんやろ？

｢彩ちゃんは貢ぎ先にはさせへんで？｣

俺の言葉に俺の胸ぐらを掴んでくる。

そうや、わざとやで？

｢俺の姉ちゃんは今彼氏おるけど、姉ちゃん大事にしてくれるんなら蓮でもええんや！でも！今の蓮は何してんの？他の姉ちゃんに声掛けられたらどこか行ってまうやん！｣

俺の言葉に腕を下ろす蓮。

｢わかっ……てんだよぉ……！｣

熱い男やからな。
泣くとこなんて俺に見られたくないはず。

でも、それを隠さず泣いた蓮。

ごめんな、蓮。
翔太くんと彩ちゃんが付き合う前ならきっと
誰より応援してたのに。

蓮も気づいたのが遅いって
わかってるから、こんな風に泣いてるんよね。

｢……蓮、ごめんな。俺な、姉ちゃんの笑顔が一番大事やねん。｣
｢っ……俺だって、彩が、笑ってて欲しいんだよっ……でも俺………彩の笑顔、独り占めしたかったよっ……。｣

俺が抱き締めれば抱きしめ返す蓮。

ごめんな、辛い思いさせたな。
俺の姉ちゃん、人ほっとけないから
無駄に人惚れさすんや。

でもそうじゃないと、彩ちゃんじゃない。

だから今は、
俺の胸にいる蓮を、俺が慰めなきゃな。