好き、嫌い、好き 3 (ページ17)

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side 阿部

いつも返ってくるLINEが返ってこない。

今日は彩が言ってた家族と逢いに行く日だと
何となく聞いてた俺は心配でLINEをした。

既読になるのは30分後とかあったけど、
何時間も返信が無いのはめずらしくて。

その時に気づいた。

あ、翔太。

そっか……そっかあ。

こんな時間まで2人で、ね。

｢アホくさ。｣

口悪く言いながら携帯をベッドに投げる。

ポンポンと跳ねながら、
何故か俺の前に返ってくる。

なんだこいつ、
持ち主に逆らう気か。

なんてアホなことを思う。

……割とダメージあるなあ。

自分の役割は分かってるのに。
何をしてんだ俺は。

そんなときに戻ってきた携帯を見ながら
ある人を思い出した。

俺と同じで役割を自分で見つけて
それに納得させてた人。

俺は携帯と財布をポケットに詰め込んで
親に今日は帰らないなんて言いながら
近場の居酒屋へ向かったんだ。

テーブル席に案内してもらって
1人なのにごめんなさい。
なんてあざとく謝ると、
店員さんは顔を赤くしてた。

男なのに。

ははっ、自覚はある。
そこら辺の女の子より可愛いのは。

でも俺が見て誰より可愛いのは
間違いなくあの人だけだったんだ。

俺が館さんにLINEするなんて
そうそうないからあちらは
ビックリするだろうし来ないかもだけど

今は館さんと話したかったんだ。

思いがけず、行くって言われて
その人を待っていれば、
少し息を切らした館さん。

｢珍しいね、そんな走るなんて。｣
｢ははっ、自分でもそう思う。｣

少し目が赤い。
泣いたんだろうな。
気持ちは、分かるよ。

お酒が進んでくれば、館さんは言う。

｢納得してるんだよ今でもね。でも、なんか理解したくない自分もいるんだよな。｣

その言葉に俺は激しく頷く。

｢わかる！わかるよ！俺も今の関係で納得してたし、ふっかが未練がましく2人見てる時もアホかー！なんて言ってたのにさ。俺、ダサいなってさ。｣

2人とも同じような蟠り？を抱いてたから
話もお酒も進んで。

でも俺は館さんと違ってお酒弱いから、
割とすぐグデングデンになってたと思う。

それでも俺の話を聞いて、うんうんって
頷いてくれる彼にすごく安心して。

｢俺、彩が好きだったんだ、ほんとに。｣

｢でも、俺じゃダメだって自分でも思ったし。佐久間と話してても思ったし。｣

｢佐久間がさ､恋はフィーリングだろって。それなら俺は最初から当てはまってないんだ。｣

そんなことを言いながら
俺は眠ってしまった。