好き、嫌い、好き 3 (ページ16)

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side 涼太

翔太が出かけた日。
多分、彩がらみの日。

何かあったら、って思ったから
翔太を待つように夕方前に部屋で待ってた。

でもその日は夕方どころか
夜も帰ってこなくて。

翔太のお母さんから聞いたら
車を借りてそのまま出かけて
俺が来る前に返しに来たらしい。

車なんてなくても彩の家には行けるし
そのまま行ったのかな。

俺は家に帰りながら
｢……そっか。よかった。｣
と呟いた。

いつそういう行為をするかは
何が正解かはわからないけど
二人の中でそういうのはしないように
我慢してたのが読み取れてたし。

2人が納得してたなら
それが早かろうが遅かろうが
素敵な行為だと思う。
翔太なんて送り迎えしたあと、
｢俺マジでやばい……。｣
って言ってたしね。

でも、不思議なもんで。
自分に大打撃が来ていた。
2人がそんな行為をしてるんだって
思ったら涙が止まらなくなった。
それこそ、みっともなく泣いて。

前もそんな行為してたのに。
今の方が辛い。

翔太が本気なんだなって
改めて思うからなのかな。

でも、翔太のイジイジ泣いてる時が続いたら
ほんとわかんなかったんだよ？
ふざけんな！って何度か思ったし。
彩は可愛いしで、俺にとってはどうしていいか。

でも彩のお兄ちゃんポジションでしか
彩を助けてあげれないって思ってたし。
だから早く翔太どうにかしてとも思ってた。

翔太や、ふっか、阿部以外が彼氏になるなら
絶対許せなかった。
そうなるなら、俺は本気で奪う気でいたんだよ。

そうなる前に動いてもよかったかもだけど
俺は翔太に泣いて欲しくなかった。

それは友情。

そして、俺が彩に本気にならなかったのは
まぁ、逃げだよね。

俺と翔太なら、翔太を選ぶに決まってるって
どこか思ってたから。
まぁ、それも間違ってなかったと思うし
俺が彩に出来たことは
多分落ち込んでる時に傍にいた事だけ。

翔太に言ったおめでとうも嘘じゃない。
だって、親友だもん。
幸せになって欲しいじゃないか。

そんなときにLINEが入る。

【館さん暇なら飲みこない？】

阿部からだった。

普段の俺だったら断る。
だって、何考えてるかわかんなくて怖いし。

でも、今の俺は誰かに会いたかったから。

【行く。どこ行けばいいか教えて。】

そう返信してすぐに外着に着替えて。
阿部からの指定場所が送られてくると
俺はすぐに駆け出した。

怖いなんて思ってる人に泣きつくように
会いに行くなんて俺も大概弱ってるんだな。