好き、嫌い、好き 3 (ページ12)

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｢俺らのために専門学校行きたいって言えなかったんだろうから｣
と、学費を払うと言われたけど、
私も成人していますから！
と、押し切ってなんとか落ち着いてもらい。

『でも、、本当にピンチの時は、甘えさせてください。』

私の言葉に、
お義父さんとお義母さんは
嬉しそうに笑ってくれた。

郁人くんは少し不安そうだったけど。

楽な道なんかじゃないのは知ってる。

就職して3年で調理師を選ぶのか
専門学校に行って2年で調理師になるのか。

今でも悩んではいるけど…。

貯金はたぶん人よりはあるから、
これからも少しずつ貯めて
何とかしようかなって思う。

翔太は私が話せたことが本当に
うれしいみたいで、
私の両親に囲まれても楽しそうに
話してくれていた。

｢翔太くん！今日は突然なのにありがとう。｣
｢君とお話できてよかったよ。また時間が合えばぜひ来てくれ。｣
｢そう言っていただけて光栄です。｣

おお、5歳児なのに敬語が使えてる←
いっぱい緊張したろうに、
そんなふうに言ってくれる翔太に
私は心から感謝していた。

そんな時に郁人くんが私の頭を叩く。

『った！！』
｢……彩、お前さ。甘え方はきっと下手なままだけど、ちゃんと言いたいことは言えよ？｣
『……最近頑張ってるよ？』
｢うん、それも知ってるけどさ。翔太くんに相談するだけじゃ解決しないとこも必ずあるじゃん。｣
『それは……はい……。』

私が応えると
溜息を吐いて、また私の頭に手を乗せる。

｢お前だけかっこつけんな。わかった？｣
『うん、ありがとう、郁人くん。』

私の笑顔に、郁人くんは満足そうに笑った。

｢そんな顔、小さいときにしか見たことないわ。｣

3人が帰っていく。
私と翔太は見えなくなるまで
手を振っていた。

見えなくなると、翔太は手を繋いできて。

｢……彩、あのさ。｣
『ん？どした？』
｢家、行っていい？｣

ドキッと胸が鳴った。

『うん、……いいよ？』
｢ありがとう。｣

そう言って笑う翔太は
やっぱり男の人で。
かっこよくて。

2人で車を停めてる所まで歩くだけなのに
今までで1番ドキドキしていた。