好き、嫌い、好き (ページ6)

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仕事をしようといつものように手を洗い、消毒をしていると

｢お、彩！おはよーピーマン！｣

元気に声をかけてくるピーマン佐久間。

『さっくん、今日も元気だね。おはよう。』
｢ふふ、今日ついに新しい嫁を手に入れたんだ！｣
『相変わらず嫁がたくさんで楽しそうだね。』
｢そりゃあ毎日幸せよ！｣

根っからのアニメオタクの彼はほんとに明るくて、このカフェのムードメーカー。
毎日ニコニコ、ほんとに癒し。

まあ度が過ぎてうるさいと、みんなに怒られちゃうけど。

｢ねぇねぇ、照っていつまでいてくれるんだっけ？｣
『たしか明後日だよね。』
｢そうかあ、照働き者だから助かってたんだけどなあ。｣
『ふっかも同じこと言ってたよ。』

私が笑いながら答えていると、

｢おはよう！｣

一段と爽やかな声が響き渡る。

『阿部くんおはよう。』

一つ年下、照くんとふっかの幼なじみ、
阿部亮平が現れた。

私はサッとさっくんの後ろに隠れるけど、そんな私を見てニヤッとしてから、

｢ふふ、彩ちゃん今日も可愛いね。｣

爽やかな笑顔なのに、どこか毒がある言い方で私に迫ってくる。

｢ははっ！こらこら阿部ちゃん！彩ちゃんびびってるからー！｣
｢えー？褒めてるのに？｣

さっくんがいるときはこうやって守ってくれるけど、いない時はほんとに大変なんです。

頭が良くて、爽やかで、お客様にも人気者の彼。

そんな彼は見た目と裏腹に途轍もないドSさんであることを私は知っている。

｢ねえ、彩ちゃん？｣
『なんでしょうか阿部くん。』

作業しながら語りかけてくる阿部くんに返事をすると、私の耳元で

｢照、もうすぐいなくなって寂しいね｣

そう言ってニヤッとする。

言い返そうとすると、すぐに照くんに話しかけに言って、私に反論の余地を与えない。

本人は気づいてないのに。
なんでこんなドSで滑稽な男に気づかれたんだろう。

私の恋を知ってる人は、翔太だけでいいのに。

そう思いながら、楽しそうに話す3人をどこか寂しい気持ちで見つめていた。