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side翔太

今日は彩が家族に会いに行く日。
でもその日は朱音の誕生日に重なって。

いつもなら終わりの時間を聞いて
その時間に間に合うように
迎えに行っていた。

でも今日は無理だ。


朱音の誕生日だから。


俺が朱音より彩を優先すれば
彩に怒られる。

そんな日だから、俺は大人しく
朱音を祝おうと思っていた。


PM5:00
酔っ払った親父たちのために
俺ら3人が飲み物を買いに行こうと
歩いていた時だった。


彩が綺麗な格好をして歩いていた。


「あれ?彩?どうしたんだろう、珍しくお洒落してる。」
「あ、本当だ。珍しいね。」

朱音と涼太がそう言うけど、
俺が気になったのはそれじゃない。


隣を歩く、長身のモデルのような男。


「あ、目黒も一緒だ。今日の用事って目黒だったの?」

朱音の言葉に思わず、
ビクってしてしまう。

でも分かってる。
今日の用事は違うって。
俺は知ってる。

でも隣に歩いて欲しくなかった。

目黒はあの3人の中で1番
彩を女として見てる気がしてたから。


「……ほら早く行くぞ。」

あの二人に気づかれる前に早く
スーパーに行きたい俺。
それに気づいたんだろう涼太は

「うん、行こう。親たちが暴れ出す前に帰ろう。」

そう言ってくれた。


「なんであの人達は暴れるかねえ。」

朱音の言葉すら、素直に
耳に入らない。


まさかこのままアパート入らないよな?

そんな怖い予感で、ちらちらと
二人を見てしまう。


「翔太?」

そんな俺を朱音が覗き込む。

「なんだよ。」

冷たく俺が言うと、朱音は優しく笑って

「彩って自分で思ってる以上に評価が高いから、目黒くん心配して送ってくれたんじゃない?」

なんて言うんだ。

「……うるせえよ。」


きっと2人には俺の気持ちを素直に
言わなくたって、全部わかってるんだろ。

幼なじみって怖いわ。


「彩、なんであんなお洒落してるんだろう。謎だね。」

朱音の言葉に理由を知ってる俺は
応えたかったけど、

朱音には言いずらい何かがあるんだろう。

そう思って俺は口を閉ざした。


「お祝いとかあったのかね。結婚式とかさ。」
「あーそうかもね。お祝いごとならあんな服装だよね。」


二人の会話に参加もせず、ただ歩く俺。

彩、今日は

誰に慰めてもらうの。

俺じゃないの?
目黒なの?


やだよ。

今日も俺だけ選んで。

自分の幼なじみたちを呪いたくなった
PM5:15。

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作者名:SNOWSNOW | 作成日時:2019年9月12日 0時

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