好き、嫌い、好き (ページ30)

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ふっかに抱きしめられて数秒、かな。
なんだか普段のふっかと違くて
ドキドキが止まらない。

抱きしめられたまま、
ふっかは私に話し出した。

｢俺、女の子とは遊ぶことしか考えてなかったんだよね。｣
『え、それ聞いたあと私どうしたらいいの。』
｢うん、ごめん。でも聞いて。｣

さらにぎゅっと抱きしめられて、
少し息苦しい。

｢こんなふざけたままの俺じゃダメだって思った。
照や阿部にいくら言われてもそんなこと思わなかった。
でも……彩がいたから。
彩にちゃんと伝えたかったんだ……。｣
『え……？』

一呼吸置くと、ふっかが言った。

｢今すぐ男として見ろなんて言わないから、少しずつ俺のこと知って貰えないかな。｣
『ふっか…？』

身体が離れると、ふっかは私の顔を
じっと見つめる。

｢彩に俺のことも見てほしい。少しずつでいいから。｣

えっと、これは…
告白、なのかな？

『ふっか、私……。』
｢今は何も言わなくていい。彩と少しずつ近くなりたい。……ダメ？｣

ふっかが真剣な目で、目を潤ませながら
私を見つめてくる。

ふっかのことはもちろん嫌いじゃない。
でもそんなふうに見てないのは確実で。
だってずっと好きな人は照くんで。
これから少しずつ変わってこうって
決めたところなのに。

でも、
これから少しずつ近づいていったら
見る目が変わるのかな。

分からないけど、
でもきちんと向き合わなきゃとは
思った。

だって、人に想いを伝えるのは
すごく勇気がいることなのは
馬鹿な私でも分かるから。

『……私、ふっかの気持ちに応えられないかもしれないよ？』
｢うん、でも今は、試してみてほしい。｣

ふっかの目は真剣で、その目に
私は思わず頷いてしまった。

ふっかは優しく笑って、

ありがとう。

って言ってくれた。

｢じゃあとりあえず、来週土曜日。楽しみにしてるね。｣

そう言って去っていく姿を見つめる私。

そしてそんな私たちを見ている人が
いたなんて、私は知らなかった。