好き、嫌い、好き (ページ26)

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閉店前に帰っていた3人。

ふっか、阿部くん、照くんと
ラスト作業を始める。

私と阿部くんは床掃除。
パンのカスって適当だと取れないから
掃除機で念入りに取らないとね。

掃除機のなかなかうるさい音が
響く中、私の肩に無理やり顎を
乗せてくる男、阿部亮平。

｢ねえ、彩ちゃん。｣
『なんですか阿部くん。早く拭いてください。』
｢明日って何あるのー？｣
『え？』
｢朱音ちゃんの誕生日より大事なこと？｣

……いや、そうじゃないんだけど。

指定された日を空けておかないと
大変な事になるのである意味大事ではある。

『んー、大事ではあるけど。友達と比べる次元ではないというか。』
｢ふーん、彩ちゃんってあの3人は特別大事にしてる気がしてたから、もっと大事な人なのかと思った。｣
『ほら、、もういいから手を動かして！』
｢はーい、わかりましたー。｣

そう言ってやっと離れた阿部くん。

やっぱり怖い人だと再確認。

作業が終わると、
ふっかパパがひょこっと顔を出し

｢お、お疲れ様。今日もありがとうな。｣
『いえ、今日は色々気遣ってもらってすみません。』
｢いやいや、彩ちゃんみたいな可愛い子はつい甘やかしちゃうんだよおじさんは。｣

頭をナデナデされて、思わず
へへへって笑っていると、

｢おいセクハラオヤジ｣
｢親父さん…犯罪者に見えるよ？｣
｢大丈夫、彩ちゃんの学生証さえ見せれば逮捕は免れるかも。｣

失礼な男3人が。

｢え、これもセクハラ……？｣
『ふっかパパ！セクハラなんて思ってないから！』
｢彩、そんなおっさんを甘やかしてもなんにもならないぞ。｣

くだらない話をしながら、
今日もバイトが終わる。

『じゃあ、お疲れ様！』
｢彩、俺買い出し行くから送る。｣
『いつも悪いね、ありがとうふっか。』

そして、私とふっか、
照くんと阿部くんに
別れて歩きだそうとする。

はっ、そうだ、
忘れ物！！

『照くん！』
｢ん？なに彩ちゃん。｣
『これ！』

照くんに差し出したのは
朱音とは色違いのハーバリウム。

｢えっ、なんで…。｣
『私、明日出勤できないから、今日のうちに。一緒に働けて嬉しかった！朱音と素敵な誕生日過ごしてね！』

私が笑うと、
照くんの目尻がくしゃくしゃになって
いつもの可愛い笑顔で言うんだ。

｢ありがとう！彩ちゃん！｣

こちらこそありがとう、照くん。
好きって気持ちを教えてくれて。

でもこれからは少しずつ、
呪いが解けるように進んでいくね。