好き、嫌い、好き (ページ19)

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sideふっか

あ、これ地雷踏んだんじゃね、照。
彩の顔が一瞬くもった。

それに気づいたのは俺と阿部だけ。
照は好きな女のこと以外鈍感だからな。
阿部は照の後ろで〘ばーか〙と
口を動かした。
ほんと見かけによらず口が悪い。

でも曇ったのは一瞬で

『ほんと？さっきふっかにも言われたんだよね！今度切りに行く時思い切って切ろうかな！』

なんて笑って答える彩。

彩はいつもこんなふうに笑ってる。
笑ってたくない時もあるだろうに
俺らの前では泣かないし、表情も
ほとんど変えない。

でも阿部が言うには昨日照が言った
一言に、珍しく目が潤んでたって
言ってたから心配してた。

目が少し腫れてる気がする。

もしかして、泣いたのかな。
一人で泣いたの？
それとも……
また翔太の前で泣いたの？

俺は翔太への嫉妬と彩への心配から
二人の間に入った。

｢これ切ったんじゃなくてアレンジなんだって。女の子ってすごいよな。｣

彩の頭をポンと叩くと、
俺を見上げて、ふふって笑う。

ねえ、彩。
俺はいつ、お前の泣き顔を見れるのかな。
泣かせたいわけじゃない。
いつも泣かないように堪えてる君の隣に
そっと立たせても貰えないのかな。

翔太のようにまず身体からってのも
考えたけど、俺の気持ちを信じて貰える
気がしないから、それはしたくない。

｢へえ！これアレンジなんだ！すごいね！｣

なんて、軽く彩の髪を触ろうとする照。

思わずその手を止めてしまった。

一瞬、時が止まる。

そして俺は照に

｢こら、せっかく綺麗にしてあるんだから触っちゃダメだよ。｣

嫉妬で止めたくせに
かっこよく言って誤魔化した。
ほんと俺って情けない。

『あははっ、ふっかありがとう！戻すの実は大変なんだよー。』

笑って言ってくれる彩。

｢あぁ、そうなのか。彩ちゃんごめんね？｣
『大丈夫だよー、崩れてないし。気にしないでね。』

彩がそう言うと、
阿部が言うんだ。

｢女心がわからない男だから仕方ないよ。｣

阿部。
ホントそうだな。
でも、それが照だし、そして
そんな一途な男が好きな女が
彩なんだ。

俺はこのかっこよくて鈍感で
彼女が大好きな
幼なじみに勝てる気がしない。

でも、彩の隣にいることくらい
願ってもいいよね。