好き、嫌い、好き (ページ16)

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リビングに行くと、
勝手にフェイスタオルをレンチンし
勝手にもう1枚を水に濡らし
勝手に私のクリームを出して
さぁ早く来いと言わんばかりの顔をして
待っている翔太。

『翔太さん、ここはどこのフェイスエステでしょうか。』
｢いらっしゃいませお客さま。本日は特別に無料で施術致しましょう。｣
『まぁ素敵☆っておい！』
｢お前の家なんだから俺の家のようなもんだ早く来い｣

句読点もつけずに一気に言う翔太に
なんだか笑ってしまいながら
翔太の隣に座ると、膝をポンポンと叩く。

その動作に？？？となっていると、
私の頭を乱暴に膝の上へ。

『ちょっ、待った！なんかこれ恥ずかしくない？！』
｢普段もっと恥ずかしいことしてるやつが言うセリフじゃない。｣
『おおい！朝から何言い出すんだよ！』
｢お前の質問に答えた迄だ、いいから大人しくしとけ。｣

乱暴な口調なのに、
まぶたの上にタオルを置いてくれる
動作はすごく優しい。

『あったかい……。』
｢このままタオルが冷めるまで当てとくぞ。｣

タオルの上に翔太の掌。
なんか、それさえ暖かく感じる。

『また眠くなっちゃうね…。』
｢お客さま困りますねえ。寝たら倍額払わせますよ。｣
『給料日前なのでつけといてくださーい。』
｢うちはそういうサービスやってないんですよー。｣

暖かいタオルが離れたなと思ったら、
今度は冷たいタオルが置かれる。

『ひゃっ？！』
｢氷水で冷やしといたから割と冷たいだろ。｣
『そんなに冷えてるなら言おうよ！』
｢まあまあ。｣
『あー、、でも気持ちいいや…。』
｢ふはっ、そりゃよかった。｣

そのあと、フェイスクリームで
顔のマッサージまでしてくれた。
かなりグリグリやられたから痛いけど、
終わったあと、自分でも分かるくらい
顔のむくみが一気に取れた気がした。

｢こんなもんだろ。目の腫れは完璧に落ちてないけど、さっきよりはマシだろ。｣

そう言って鏡を見せてくれた。

おお……むくみやっぱりない。
そして目の腫れも落ち着いてきてる！
これならバイトの時は綺麗に腫れも
引いてる気がする！

『翔太ー！ほんとありがとう！』
｢どういたしまして。｣

そう言いながら頭をポンポンと
軽く叩く翔太。

｢お代は朝飯でいいぞ？｣
『え、そんなんでいいの？』
｢うん。その代わりオムライスね。｣
『あっ、指定はあるのね。』
｢なにか文句でも。｣
『いえ、何一つありません。』

私は冷蔵庫の中のもので
朝食の準備を
始めることにした。