検索窓
今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:157,298 hit

13 ページ14

side翔太

彩と初めて知り合ったのは高校1年の時。

小柄で童顔で、正直何一つ好みじゃない女だった。

付き合うなら朱音みたいなモデル体型で、性格はもう少し素直で…みたいな気持ちでいた。


ただ、彩は自分の小柄さを活かして甘えてくるような女じゃなかった。

クラスでのイベントも率先して嫌な仕事を引き受けていたし、弱音も吐かない。

男たちに「ちびのくせに。」ってからかわれても、キョトンとした顔して『生きてるだけで丸儲けって言葉知らんの?』って言い切る女だった。


お前はどこのIMALUさんだよ。


小さいくせに、かっこいい女。

それが彩だった。


そんなかっこいい女が崩れたのは、好きな男ができた時だった。


しかもその男は、自分の親友を好きだと、
彩だけじゃなく、俺も涼太も、
もっと言えば親友、俺たちの幼なじみ
朱音も気づいていた。


高校3年に上がった時、
朱音と照が2人で手を繋いで
「付き合うことになった。」
って俺たち3人の前で報告した。

俺は思わず彩を見た。

彩は優しく笑って、2人に向かって


『おめでとう!』


って言ったんだ。


俺は、そんな彩を見てふざけんなと思った。


かっこいいのかもしれないけど、そんな彩見たかったわけじゃない。


あんなに手が震えてたのに。


本当は泣きたかったのに、泣きもせず
嘘の笑顔で二人に祝福を送ったんだ。


それからもその2人を見てもニコニコしてて
誰にも弱音をさらけ出さない彩。

元々横恋慕したり泣いたりする
タイプじゃないのは知ってる。
それでも辛いのに辛いって言えないのは、
もっと辛いじゃんか。


俺は思わず自分の家に彩を呼び出した。


『話って?』

「彩、お前照好きだよな?」

俺の言葉に彩は顔を引きつらせる。


『はは、翔太何言ってんの?』

すぐに笑って誤魔化す。

そうじゃねえ。
俺が見たいのはその顔じゃねえ。

泣いて欲しい。
辛いならその涙を見せて欲しい。

そう思ってたのに、俺がしたことは体を求めることだった。



痛いはずなのに、それでも笑って

『翔太に甘えてごめん。』

そう言われた時、俺はこいつを死ぬまで
甘やかさなきゃいけないと思った。


それを愛だと知ったのは、
セ フレって関係に落ちたときだった。


でも、その関係を捨てるわけにいかない。
それでしか、彩を独り占めできない。

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (78 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
278人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:SNOWSNOW | 作成日時:2019年9月12日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。