好き、嫌い、好き (ページ28)

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side涼太

カフェから帰ってきた俺と翔太は
翔太の部屋でくつろいでいた。

あ、もちろん朱音は送っていきました。

送ってかなかったら
俺らが彩に怒られちゃう。

｢しかし彩ってなんでも出来るな。｣
｢え？｣
｢なんだっけ、あれ……なんとかバームとかなんとか……。｣
｢ハーバリウム、ね。｣

彩が渡したハーバリウムを
大事そうに嬉しそうに抱えた
朱音を思い出して、ふって笑う。

確か中に入ってたのは
黄色のバラとかすみ草。

彩らしい花言葉の贈り物。

｢何ひとりでニヤニヤしてんだよ。｣
｢いや、彩って花言葉知ってるんだなって思って。｣
｢え、どういうこと？｣

俺は翔太に説明してやる。

｢あのハーバリウム、黄色のバラとかすみ草入ってたんだけど、黄色のバラは友情。かすみ草は感謝とか幸福。｣
｢へえ。｣
｢彩の気持ちがいっぱい詰まった贈り物だな。｣
｢あいつらは変わらず仲良しだな。｣

ちょっと拗ねたように言いながら
優しい顔をする翔太。

俺らの大事な幼なじみ。
俺らの大事な友達で、好きな人。

まさか翔太と好きな人が
被る日が来るなんて思ってなくて
無理やり彩を嫌いになろうとしてた
ときもあった。

でも無理だった。

だから、翔太ごめんね。
これからも変わらず好きでいさせて。

今は彩と付き合おうとは思ってないけど、
翔太がモタモタしてたら
俺もどうなるかわからないからね。

｢なんだよ、そんなに見て。いくら幼なじみでも気持ち悪い。｣
｢いや、いい男だなと思って。｣
｢……そういう趣味はないぞ。｣
｢知ってる。俺もない。｣

翔太、幸せになれよ。