一瞬の夢をあなたと。 (ページ10)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:8,788 hit

過保護な保護者ページ10

『…岩本さん？』

なぜ、私は抱きしめられてるのでしょうか？

黄｢Aちゃん、物件は俺も一緒に探すから。｣

『そんな、ここまでしていただいたのに！』

黄｢俺がほっとけないの。だから最後までちゃんとさせて。｣

『岩本さんって優しいんですね。』

きっと、ほっとけないんだろうな。

私だけじゃない、彼の性格がそうさせてるんだ。

『お言葉に甘えます。なので、…離していただけると…。』

黄｢やだ。｣

え、そんな駄々っ子のような声を出されても。
キュンとしちゃうじゃないですか。

黄｢Aちゃん、すぐ家出てっちゃいそうだもん。そんでまたあんな人気のない公園で1人で蹲ってそうだもん。｣

『…そ、そんなことしないですから！今は、岩本さんのご厚意に甘えさせてもらってますから！』

黄｢絶対？｣

『もちろんです。』

黄｢明日の予定は？｣

『バイトがありますけど、午後から夕方までなので。午前中に家事終わらせられますよ。』

黄｢…歩きで行くの？｣

『さっきマップで調べたら20分くらいだったので行けないこともないかなって。』

黄｢俺の自転車貸すから、自転車で行って。｣

『え？いいんですか？』

黄｢うん、心配で仕事できなくなる。｣

…過保護なお兄ちゃんができてしまったようだ。

『私の実の兄より、過保護です。』

黄｢よく放置できるな。こんなかわいい妹。俺には無理だ。｣

『ふふ、私、実は強いらしいので。』

黄｢そうかな、充分かわいいよ。Aちゃんは。｣

そんなつもりなくかわいいなんて、
女に言ってはダメです。

黄｢じゃあ、今日はここで一緒に寝る。｣

『へ？！』

黄｢見張ってないと心配で寝れないから！｣

『な、何言ってるんですか！大丈夫ですって！』

黄｢Aちゃん、家主は誰？｣

ぐっ、それを言われたら
私なんも言えないじゃないですか…。

『岩本さんの仰せの通りに…。』

黄｢よし、布団もう一個出そうっと。｣

クローゼットをガサゴソと探り出してる。
暗い中だと大変だろうからと電気をつけようとした。

黄｢つけないで、俺暗いままでいいから。｣

『え、やりにくくないですか？』

黄｢問題ない。ちょっとまってて。｣

大人しく布団の上に座って待っていると

黄｢よし、じゃあ寝よう。｣

『明日、家電の使い方、聞いてもいいですか？』

黄｢もちろん。おやすみ、Aちゃん。｣

優しい彼の声が響いたあと、
私の左手は、彼の右手に包み込まれた。