一瞬の夢をあなたと。 (ページ29)

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優しい君ページ29

side black

お互い講義が終わり、自転車に乗って。

黒｢金田、これからどこ行くの？｣

『今日はバイトなの。』

黒｢あ、まじか。…バイト先行ってもいい？｣

『全然いいよ。これから来ること増えるだろうしね。』

黒｢え、なんで？｣

『照くんたちの職場の近くだもん。』

黒｢は、まじか。最近始めたの？｣

『いやいや、1年前くらいからだよ。こっち来てからすぐ。』

黒｢じゃあそんな前からみんなのこと知ってるの？｣

『いや、私、キッチンだし。全然知らなかった。1度ホールでたら遭遇して以来、ホール出てないから全然会わないよ。』

自転車に乗って、数十分。

金田のバイト先に着いた。

……そういやこいつ、さりげなく岩本くんのこと、照くんって呼んでたな…。

俺のことはずっと目黒くんなのに。
……まぁ、いいけど。いやよくないけど。

『じゃ、ごゆっくりね。』

黒｢…ああ。金田頑張れよ。｣

『うん、ありがとう。』

優しく笑うあいつは、まじでいい女だと思う。
大事にしないといけない。

1人心で誓い、カフェに入ると

橙｢いらっしゃいませー。あ！めめ！｣

まん丸頭のマッシュヘアの康二が現れた。

黒｢は？なんでいんの？｣

橙｢ここ俺のバイト先やねん！｣

黒｢まじか、金田と一緒に働いてるんだ…。｣

橙｢ああ、めめ、Aとお友達なんやろ？｣

A、そう呼ぶほど近い関係なの？
まあ、康二だしな…距離近そう。

橙｢立ち話もなんやし、好きな席座り！｣

康二に言われてホールを見渡す。
空いてる席…あ、窓際がいいな。

窓際に進んでいくと

紫｢あれ？目黒じゃん。｣

ある1席に

黒｢ふっかさん、岩本くん、しょっぴー。｣

お世話になってる3人が現れた。

青｢ここ、学校から遠いのに。｣

黒｢…金田がバイト先行くって言うんで着いてきたんす。｣

黄｢ああ、Aも着いたんだ。よかったよかった。｣

紫｢もう完璧保護者だよね。｣

黄｢ふふ、A可愛いからね。｣

青｢…ただちんちくりんなだけだろ。｣

黄｢翔太？｣

青｢なんでもないです、ごめんなさい。｣

ちんちくりん…まぁ確かに小柄ではあるな。
でも俺が聞きたいのはそれじゃない。

黒｢岩本くんにとって、あいつはどんな存在ですか？｣

どうしても、ずっとそれが気になって。

黄｢…可愛い妹、かな。｣

っていう、まあ納得の答えが。
その一言を、金田が聞いてたことを俺は知らない。