一瞬の夢をあなたと。 (ページ23)

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あなたといたいという願い。ページ23

｢…ちゃ……ん……Aちゃん？｣

何度も呼ばれる私の名前。

ああ、この人の声、好きだなあ。

優しい声。低くて柔らかくて落ち着く声。

『い、わもとさん…まだ、一緒に…いたいです。』

わがままでごめんなさい。
私にもう少しだけ、夢を見させてください。

黄｢うん、一緒にいるよ。だから、ご飯食べようか。｣

クスクスと笑う声に、私は一気に目が覚めた。
ガバッと体を上げる。
は、恥ずかしいこと言っちゃってたな…もう。

『ご、ごめんなさい！なんか、寝ちゃって…。』

黄｢大丈夫。今日もアイツらと色々話して疲れちゃったろう？特に翔太。ごめんな。｣

『納得いくまで話したいタイプみたいですから。私もそれには付き合わなきゃいけないのは、分かります。』

私がそう言うと、頭を撫でてくれた。

黄｢悪い奴らじゃないんだ。分かってもらえると思うから。｣

『ふふ、はい。康ちゃんもそう言ってましたし、おふたりにそう言われたら安心です』

そういや、目黒くんも彼らと関わりがあるみたいだ。

でも、あえて聞くものでもないか。

黄｢ねぇ。あのさ。｣

私が立ち上がって銀ジャケを出してる時だった。

不意に話しかけられ、声をする方に振り向くと
思ったより近くにいてびっくりしてしまう。

黄｢岩本さん呼び、やなんだけど。｣

『へ？』

黄｢康二のことは康ちゃんでしょ？目黒はなんて呼んでんの？｣

『普通に目黒くんです。』

黄｢で、目黒にはタメ語？｣

『そうですね、ずっと同級生ですから。』

黄｢今日から岩本さん呼び禁止、あとタメ語。｣

『きゅ、急には変えられないですよ！呼び方難しいし！』

黄｢いいから、ほら。思い浮かぶので呼んでみて。｣

『え、え、照にぃ？』

黄｢却下。それ康二専用。｣

なんだそのマウントは()

『ひ、照、さん？』

黄｢さん付けきらーい。｣

子どもっぽくわざと頬を膨らます岩本さん。

『…照、くん。』

黄｢うん、まぁまぁ及第点だね。｣

嬉しそうに笑ってくれた顔に、ほっとして。

『が、頑張って呼びますね？』

黄｢あと敬語も。頑張って変えてね。｣

そう言って私の頭を撫でて
彼は満足そうにしてソファへ。

む、無駄にドキドキタイムを過してしまった。

私は頭を切りかえて、夕飯の準備を進める。

黄｢いい匂い♪｣

『あ、苦手なものあったら言ってくださいね？』

と言ったら、お味噌汁のネギも、
お漬物のきゅうりも苦手とのこと。

『次は気をつけます！』

黄｢ふふ、ありがとね。｣