好き、嫌い、好き 4 (ページ7)

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said 阿部

「阿部ちゃん、悪いけど彩送ってくれない？」

翔太に言われてビックリした。
え、急に俺？

「頼む。」

翔太が真剣に頼むから、

「わかった。」

とだけ言って、彩を誘導しだした。

『翔太、また後でね？』

「うん、お前んとこ帰るから。安心しろ。」

翔太がフワッて笑えば、
彩は照れくさそうに笑った。

うん、言いたいことが言えたスッキリした顔。

目黒に言いたいことが全く無いわけでは
無いけれど....でも、今はよかったな、
そう思えたから一先ず店を出ていった。

『阿部くん。』

歩きながら、彩がつぶやく。

「んー？どした？」

『私は、言いたいこと言えたけど。蓮は言えたかな？』

ほら、また人のこと。
なんで自分を優先しないんだろうね。

「俺は目黒じゃないからわからない。でも、彩の中にちゃんと自分がいるのは嬉しかったと思う。」

『ふふ、相変わらず正直。』

笑いながら、ありがとう、そう呟く。

「ねえ、彩。」

『はーい？』

「.......頼むから、人に話すことが出来ないことがあるなら、翔太に俺が怒られてもいいから、俺に話せよ。」

『.......阿部くん。』

「あんなに何も出来ないのは、もう嫌だよ、俺。」

大好きな人だった。
でも今は、彩に翔太がいるのも
分かってるから。

恋人にしたいとかじゃない。

彩を大事にしたいだけなんだよ。

『.......素直に甘えるの、まだ怖いけど、少しずつ言えるようになったから、待ってて欲しい。』

彩が少し俯いて言うから
俺はその頭をポンと撫でて。

「わかった。待ってるよ。でも、もう二度とこんなことならないようにだけはしてね？俺だって、さすがに心配だからさ。」

『うん、ごめんね。』

「次やったら名前で呼んでもらおうかな笑」

なんてふざけて言ったのに

『.....亮平、ありがとう。』

素直に言っちゃうもんだから、
俺も思わずフリーズ。

でも他の子からふざけて呼ばれても嫌悪感しか
なかったのになんだか嬉しくて。

「彩に名前呼ばれるのは嬉しいね。」

そう素直に返した。

だって僕は、君の親友だから。

『そういや、亮平って幼なじみにも呼ばれてないね。』

「うん、阿部の方が言いやすいんじゃない？」

『はは、じゃあ私が第1号か。』

「彩は俺の親友だから、許されるでしょ。」

俺の言葉に、
嬉しそうに笑ってくれるから
これからも俺は君の親友で、隣で

優しく厳しく支えていくよ、彩。