好き、嫌い、好き 4 (ページ6)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:11,859 hit

146 ページ6

『それでもあの日、私があそこにいたらダメだった。』

私の言葉に蓮は顔を上げた。

『蓮からの気持ちを察しきれなかったかったのは確かだよ。でも、私にはもう翔太がいたから。あそこにいたらダメだった。ちゃんと考えたら分かるのに、私はそれをしなかった。』

『違う形でも、蓮が大事だったから。気づいたら慌てて家を飛び出してた。』

可愛い後輩だから。

その人が私に助けてと言うなら、
助けてあげたいって思ったんだよ。

『.......でもその結果、蓮は気持ちを爆発させてしまったんだろうし、翔太だけじゃない、他のみんなも巻き込んだ。そんなの、私がやった事は正しいことじゃないって、分かるんだよ。』

「ちが、俺はわかってやったよ。彩なら来るだろって。」

『例えそうでも、私は断るべきだった。方法は沢山あったんだよ。私が一人で行かないなり、康二に任せるなり、できることは沢山あった。だから、お願いだから自分だけを責めないで。』

私の言葉に下をまた向いて、唇を噛んだ。
そんな蓮を見たかったわけじゃないよ。
そんな顔させて、本当にごめんね。

『キスは、されたくなかった。でも、そんな隙を作ってごめん。蓮の気持ちをちゃんと受け止められなくてごめん。私には、翔太がいるのに、ちゃんとできなくてごめんね。』

「.......どんなお人好しだよ、馬鹿だろやっぱり。」

『風邪ひいたから馬鹿じゃないと思う。』

「ばーかばーか。」

『蓮に言われたくない。ばーか。』

「.......全く俺と関わるなとか、俺出来ないのに、なんでそんな優しくすんだよ.....。」

『私も、蓮と関わりたくないって、思えないからだよ。蓮は可愛い後輩なんだよ。』

パッと見、何考えてるかわかんなそうな顔して
康二とラウが他の人と仲良くしてると
面白くなさそうに眉間にシワを作る蓮。

美味しいものを食べる時、幸せそうに
目じりを下げて珍しくテンションを上げる蓮。

勉強できなくて、でも人一倍頑張り屋だから、
気づいたら素晴らしい成績を収める蓮。

そんな蓮だから私は大事にしようって
思ったんだよ。だから、自分ばかり責めないで。

「.......おい、目黒。」

蓮だけ見てたから翔太が近くに来てたのに
気づかなかった。

「お前、まだ時間あるんだろ？」

「....はい。まだ大丈夫です。」

「じゃあ次は俺と。.......彩、お前は帰れ。」

そう言うと私の頭を撫でた翔太。

『え、でも....。』

「お前の大事な後輩だから、俺達も大事にするよ。心配すんな。」