好き、嫌い、好き 4 (ページ12)

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side 朱音

「家族がいないなんて、可哀想な人だね。」

彩とテレビを見てて荒れた人の特集をしていて
そう呟いた。

本気でそう思った。

私は、その環境にいなかったし

心を開ける親友もいて

幼なじみも助けてくれて

幸せな毎日だった。

そのとき親友が呟いた。

『家族が居ない人は幸せになれないのかね。』

私は何も言わなかった。

親友を傷つけてたなんて知らずに。

家族が居ないと言うだけで犯罪を犯す人を
報道で知る度に、気の毒ではあるけど、

自分はそうじゃなくて、ほっとしていた。

でも彼女は、今は大丈夫だからって

翔太の隣で笑うの。

ねえ、彩の初恋は照だよね？

私の初恋は、翔太だったんだよ。

翔太、ねぇ

なんで私じゃダメだったの。

なんで、彩なの？

わかってる。もう分かってる。

彩は、今までの子と違うって。

涼太、あなたは私にとっての
王子様だった。

彩と翔太のことで相談するのは
あなただった。

でも、涼太が大事にするのは

彩だった。

知ってたよ。2人にとって
大事な女の子は彩なんだよ。

私はただの、幼なじみ。

彩が傷ついた顔をしても、

ざまーみろって呟いたことがあった。

それは後で後悔した。

そして今。

私には血の繋がった家族が居ない。

そう言われた時、

私に言えなかったのは、

私が言った言葉のせいだと悟った。

ねぇ、彩。

あなたは私に出会ってよかった？

優しいあなただから、私に出会って

良かったって言うよね。

でも、私は、

良かったけど、いらない気持ちを
沢山知ってしまったよ。

こんな醜い私でもあなたの隣に
いてもよかったんですか？

私を沢山助けてくれるあなたを傷つけた私が。

あなたの隣で笑ってていいんですか？

『朱音がいなかったら、私は救われてない。確かに嫌な言葉を聞いたと思った。でもそれを知ってたらあなたはそれを言う？言わないでしょ。言えなかった私が、悪かったんだよ。』

家族はいません。
大事な友達も、いません。
1からやり直しました。

そんな言葉、彩から聞いてたら
私は彩に素直に頼れてだろうか。

きっと、それは無理だった。

彼女をこんなに好きにはなってなかった。

そう言われた瞬間、彼女を抱きしめた。

「ごめんね、ありがとう。大好きだよ。彩……。」

彩は私を抱き締め返して、ただ泣いていた。