百五十九話 役に入り込んで… ページ10
続けて──…
A「“姫様っ!!俺と共に逃げましょう!
この身果てても生涯貴女をお守りします!”
忍者は姫の手を強く握りました。
しかし、二人の行く手を塞ぐのは……」
千鶴「はわぁ…!」
姫と忍者の心が通じると
感情移入して千鶴はうっとりと感嘆した。
しかし、子供達は──…
A「“くっ…俺は負けぬ!”
追っ手の猛攻を忍者が忍び刀でいなします。
キンッカンッ…尽かさず手裏剣で敵を牽制し
姫の逃げる刻を稼ぐべく一歩も引きません」
「手裏剣ー!」
「やれーっ」
「がんばれー!」
戦いの描写の方を喜んで聞き入った。
Aもそれを察して身振り手振りと
その場で宙を一回転して
目でも楽しめるように役になりきって続ける。
やがて──…
A「……こうして、
姫と忍者は互いの身分を捨て夫婦となり
いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし」
「おもしろーい!!」
「忍者かっこいい!」
物語が終えると拍手喝采が沸き起こった。
千鶴「素敵なお話でした…!
Aさんの語りも惚れ惚れしました」
A「ご清聴ありがとう…。
幼い頃に読んでもらった話の一つでね…
それから忍者や侍に強い憧れを持って
木刀を振り回して周りを困らせたものだ」
早乙女の里では頭領の娘として
蝶よ花よと育てられたが、
その生来のお転婆さに周りは手を焼いた。
微笑ましく思われつつも
「姫でなく若君ならば安泰だろう」とさえ
方々から囁かれたものだ。
そこへ──…
総司「そうだったんだ。面白いお話だったね」
A「な…!沖田っ!?
いつの間に帰ってきたんだ!?」
突然、背後からかけられた声に
Aは勢いよく振り返って
巡察から戻ったその姿を認識する。
「そーじだ!」
「もう!待ちくたびれたよーっ」
彼の登場に子供達は喜んで駆け寄った。
そのやりとりで、普段の彼らの
新密度が手に取るように分かる。
総司「お待たせ、みんな。
結構前に帰ってきてたんだけど
Aくんのお話を
つい最後まで聞き入っちゃってー」
足元の子供達の頭をぽんぽんと
慣れた手つきで撫でながら総司が言う。
A「この子らはお前を
待っていたのだから早く声をかけぬか!」
ちなみに──…
より正確に言えば、子供の一人が
Aに女人かと問うた辺りから
物陰でその光景を楽しげに眺めていたりする。
**********
続く
百六十話 子供が見てるから…→←百五十八話 物語に耳を傾けて…
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亜紀野ユキ(プロフ) - リアさん» ありがとうございます(*´ω`*)執筆意欲が俄然湧きました!! (2022年2月13日 16時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
リア - 個人的に男装でバレずに焦れる話が好きです。作者様が本当に書きたいものを読めればな〜と思っております。強いて言えばシリアスが好物です笑。この作品で何だか伊東さんが憎めずになってしまい、好きになってきましたwこれからも更新楽しみにしております♪ (2022年2月13日 13時) (レス) @page50 id: 99ed9645a2 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - ひなみさん» 貴重なご意見恐縮です!!悩ましいですが…ご容赦を(>_<)いずれ男装即バレのR.18アナザーストーリーをupするのでお許しを!! (2022年1月25日 19時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ(プロフ) - はじめまして!薄桜鬼も愛されも好きすぎるのでこの作品も大好きなのですが、BLは苦手なので早く女バレさせてほしいです…。読み手は女の子だと分かっていても登場人物は男だと思っているわけだから…どうしてもBLに見えてしまって…。でもお話は大好きです! (2022年1月25日 19時) (レス) @page48 id: 81d9d42d97 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 律さん» どうもデス!!(*^ω^) (2021年12月27日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年9月18日 21時