百五十八話 物語に耳を傾けて… ページ9
「だってお兄ちゃん…
俺の姉ちゃんより
美人だもん!胸ないけど」
柔らかい彼女の腕の中で
男児は素直かつ残酷なことを言う。
視線はさらしで平らにした胸に注がれ
紅葉のような小さな手で
ぺしぺしと無い膨らみを探している。
A「めっ!それは姉上に失礼だろ!
あと、間違っても今後の人生で
胸の有る無しを女人に言ってはいけない」
「えーなんでー?」
A「なんででも!!」
幼子の言動ゆえに怒りは湧かないが、
その将来を見据えて叱りつける。
願わくば、新八とは違って
気遣いのできる男に育って欲しいと思う。
千鶴「さすがAさん…!」
それに千鶴は深く感心した。
彼女の言う、その“さすが”には
二つの意味が込められている。
一つは、いつものAらしい
女人への細やかな気遣いに。
そしてもう一つは、子供さえも
女人とみまごうその中性的な美貌に。
実際は──…
容姿・性格・剣の実力…
どれをとっても男前さが揺るがない
驚くべき少女であるが。
むしろ、それこそがさすがである。
「それよりもー!まだあそぼー!」
「もっと!もっとぉ!」
A「うーん……
(千鶴を少し休ませてあげたいな…)」
満足するまで遊んであげたいとは思うが、
くたくたの千鶴を思うと
なんとかしたいとあごに手を当てる。
A「…そうだ!これから俺が
面白い物語を聞かせてあげよう」
「えー!おはなしぃ?」
「つまんなーい」
すぐに不満の声があがるが──…
A「…良い子でお話を聞ける
お利口さんはどこだー?」
「「はーいっ!!」」
元気よく挙がる手に笑みをこぼして
井戸で皆に水を飲ませながら
Aはゆっくりと語り始めた。
A「では……これは、
とあるお城のお姫様と忍者のお話だ」
「忍者っ!」
「手裏剣だぁ!」
「しーっ!静かに聞くの!」
A「あるところに濡れ羽色の
美しい黒髪の可愛らしいお姫様がいました。
姫はいつかは決められた嫁ぎ先へ
お嫁に行かねばなりません。
しかし、姫の心にはすでに想い人がいます。
“ああ…わたくしはどうしてあのお方と
出会ってしまったのでしょう?
こんなに胸が痛むのならば…いっそ…
出会わなければ良かったのに…!”
嘆く姫の視線の先には……」
役に入り込んだAの語りに
引き込まれるようにして
子供達も千鶴も真剣にその物語に聞き入った。
**********
続く
百五十九話 役に入り込んで…→←百五十七話 子供達と遊ぼう…
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亜紀野ユキ(プロフ) - リアさん» ありがとうございます(*´ω`*)執筆意欲が俄然湧きました!! (2022年2月13日 16時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
リア - 個人的に男装でバレずに焦れる話が好きです。作者様が本当に書きたいものを読めればな〜と思っております。強いて言えばシリアスが好物です笑。この作品で何だか伊東さんが憎めずになってしまい、好きになってきましたwこれからも更新楽しみにしております♪ (2022年2月13日 13時) (レス) @page50 id: 99ed9645a2 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - ひなみさん» 貴重なご意見恐縮です!!悩ましいですが…ご容赦を(>_<)いずれ男装即バレのR.18アナザーストーリーをupするのでお許しを!! (2022年1月25日 19時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ(プロフ) - はじめまして!薄桜鬼も愛されも好きすぎるのでこの作品も大好きなのですが、BLは苦手なので早く女バレさせてほしいです…。読み手は女の子だと分かっていても登場人物は男だと思っているわけだから…どうしてもBLに見えてしまって…。でもお話は大好きです! (2022年1月25日 19時) (レス) @page48 id: 81d9d42d97 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 律さん» どうもデス!!(*^ω^) (2021年12月27日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年9月18日 21時