【薄桜鬼】〜美男剣士は、実は女？〜肆

百五十六話　たまには癒しでも… ページ7

「ねー！そーじいないの？」


A「ああ、ごめんね。
　あの馬鹿は今巡察に出ている。
　そのうち帰ってくるとは思うが…」


頬を膨らませる一人の男児の頭を撫で
和らげな口調で伝える。

新選組の屯所に不似合いな
その可愛らしい存在に
今現在ほっこり癒され続けているのだ。


「えーっ！つまんない」


「ばかってそーじのこと？」


A「ああ。しかし、みんなは
　友に馬鹿なんて言ってはいけないぞ」


日頃の恨みがこもって
ついうっかり口に出していた。


「そーじにはいいの？」


A「うん。良い」


間髪入れずに大きく頷いた。


千鶴「もうっAさん！」


呆れたように千鶴が唇を尖らせると
Aは幼い時分に戻ったかのように
いたずらっぽく笑う。


A「ふふっ……あの馬鹿を待ってる間
　俺達と遊んでくれるか？」


「いいよー！」


「一緒にあそぼっ」


千鶴「あの……良いのでしょうか？」


多少の自由は許されているが
二人は軟禁されている身である。

勝手なことをして怒られまいかと
千鶴は不安なのだ。


A「こうも男ばかりで
　むさ苦しいと気が滅入るだろう？
　可愛らしい幼子に癒されても
　誰も咎めはしない……さあ、門まで競走だ！」


「わーい！」


Aの声に子供達が一斉に駆け出した。


千鶴「あ、待ってください…！」


少し遅れて千鶴も続いた。


A (……もしもの時…考えはある)


誰かに咎められたとしても
元は総司が子供達と頻繁に遊んでいたせいだと
彼一人を差し出す算段なのだ。

日々の苛立ちの積み重ねで
Aも総司に対してのみ少々意地が悪い。


しかし、良識的に考えて
あまり他の者の迷惑にならぬようにと
皆のいる家屋から離れた所へは誘導する。


A「よーしっ！
　みんなは何をして遊びたい？」


現在は人の出入りがなく
閑散とした屯所の門の辺りで腰をかがめ
子供達と目線を合わせてAが問う。


「かけっこ！」


「鬼ごっこ！」


「かくれんぼ！」


その問いかけに
子供達が嬉々として声をあげた。


A「鬼ごっこ、か…」


本物の鬼二人を前にして挙がった
“鬼ごっこ”に彼女の口元が緩んだ。


A「では、働いている他の人達の
　迷惑にならぬように遊ぶのだぞ？」


「「はーいっ！！」」


千鶴「すごい…！Aさんって
　小さい子の扱いに慣れていますね」


完全に統率の取れた様子に
感心したように千鶴が呟いた。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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斎藤一　風呂上がりの無防備な恰好で出くわすと説教＆襟巻でぐるぐる巻きにされる！なにゆえ？！

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