百六十六話 訪れる災難… ページ17
土方「ガキみてぇなことを…
さっさとやめやがれ!」
震える身体がいっそう華奢に思えた。
土方は虫をAの視界に入れぬよう
彼女の頭を抱え込んで
その背をぽんぽんと優しく叩く。
完全に幼子の如くあやされている。
───ピシ…ッ
総司「Aくんから離れてくださいって
言ってるんですけど!?」
土方「総司……てめぇは
こんなガキをいじめて楽しいのか!?
ちったぁ大人になりやがれ」
総司は、今の二人の体勢と土方の介入が
心底不愉快で苛立ちが募り…
土方もまた、小さいものをいじめる
総司に厳しく説教せねばと使命感が働く。
双方、しばしAの頭上で
火花を散らして空気がぴりついた。
総司「っ…離れろって言ってんだろ!……あっ」
──ブンッ
本人は全くの無意識で
その苛立ちから総司は手に握ったものを
土方に投げつけてしまった。
つまり、虫の大量に入った木箱を。
土方「くっ…」
バッ!
すかさず土方がそれを手で払うが
箱の中身は彼とAに降り注いでしまう。
パラパラ…パラパラ…
A「ひ……っいやあああっ!!!」
土方「総司…てめぇなぁ……!」
とっさに袖で庇ったので
そのほとんどは土方が受け止め
Aには振りかからなかった。
しかし、彼の袖の隙間から覗く光景が
衝撃的すぎて堪らず彼女は叫んだ。
男らしさも武士らしさも取り繕う余裕はない。
総司「ごめ……投げるつもりは本当になくて…」
A「もう…やだ……沖田…ほんときらい…っ」
恨めしく総司を睨み付けた瞳から
ぽろりと雫がこぼれ落ちた。
それを皮切りに次々と機械的に液体が滲み
子供のように泣き出してしまう。
お転婆なところはあるが
幼少期から蝶よ花よと育てられたAに
大量の虫は無理だった。
未知との遭遇に彼女の忍耐が限界を迎え
とめどなく涙が溢れる。
すると、そこへ──…
新八「今の悲鳴はなんだっ!?」
左之助「敵襲か?!」
一「……早乙女?」
先程のAの悲鳴を聞き
新八、左之助、一の三人が駆けつけた。
その声が甲高かったために
千鶴かと思って幹部が集まったのである。
しかし──…
そこには、ばつの悪そうな総司と、
虫まみれの土方と、そんな彼にしがみついて
泣きじゃくるAがいた。
通常あり得ないその光景に
三人は盛大に混乱して固まる。
*********
続く
先生ー!総司くんが
Aちゃん泣かせましたー!
良くないと思います(`Δ´)ノ
ラッキースケベ
斎藤一 風呂上がりの無防備な恰好で出くわすと説教&襟巻でぐるぐる巻きにされる!なにゆえ?!
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亜紀野ユキ(プロフ) - リアさん» ありがとうございます(*´ω`*)執筆意欲が俄然湧きました!! (2022年2月13日 16時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
リア - 個人的に男装でバレずに焦れる話が好きです。作者様が本当に書きたいものを読めればな〜と思っております。強いて言えばシリアスが好物です笑。この作品で何だか伊東さんが憎めずになってしまい、好きになってきましたwこれからも更新楽しみにしております♪ (2022年2月13日 13時) (レス) @page50 id: 99ed9645a2 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - ひなみさん» 貴重なご意見恐縮です!!悩ましいですが…ご容赦を(>_<)いずれ男装即バレのR.18アナザーストーリーをupするのでお許しを!! (2022年1月25日 19時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ(プロフ) - はじめまして!薄桜鬼も愛されも好きすぎるのでこの作品も大好きなのですが、BLは苦手なので早く女バレさせてほしいです…。読み手は女の子だと分かっていても登場人物は男だと思っているわけだから…どうしてもBLに見えてしまって…。でもお話は大好きです! (2022年1月25日 19時) (レス) @page48 id: 81d9d42d97 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 律さん» どうもデス!!(*^ω^) (2021年12月27日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年9月18日 21時