【薄桜鬼】〜美男剣士は、実は女？〜肆

百五十二話　続きは道場で… ページ3

千鶴「で、でも……」


意図せずとも自分のことで
争う二人を残して出掛けることに
千鶴は罪悪感を覚える。


左之助「いや…行ってこい。
　二人は俺がそれとなく見とくからよ。
　あとでAに土産話の一つでも
　聞かせられるように楽しんで来い！」


このまま二人の争いに介入もできず
事態が好転しないのは頂けない。

ならばいっそAの望み通りに
千鶴を甘味で笑顔にするのが
新八のせめてもの務めだろう。


新八「おう！じゃあ行ってくるわ」


千鶴「は、はい……原田さん！
　お二人のことよろしくお願いします…！」


Aに土産話を…と言われては
頑なに遠慮するのも
申し訳なくて千鶴も心を決める。

こうして、二人は甘味処へ向かった。


左之助「しっかし……
　こいつはどうしたもんかなぁ…」


残された左之助は
新八達が出掛けたことにすら気付いてない
Aと一に再び視線を向ける。

成り行きとはいえ
面倒な役割を引き受けてしまったものだ。


一「俺はあんたを誤解していたようだ。
　ここまで盲目的で感情的とは…」


A「斎藤こそ…！考え方が極端で
　融通の利かぬ面倒くさい男だな」


左之助「おい、二人とも…そのくらいで…」


すると、
そこへ招かれざる者がやって来る。


総司「二人で何してるの？
　面白そうだね…僕も交ぜてよ」


屈託のない笑みを浮かべた総司が現れた。


「「沖田／総司 は黙ってろっ！！！」」


総司「え……怖いなぁ…」


その剣幕にはさすがの総司も真顔になる。


左之助「総司…頼むから
　今は何も言わずに引っ込んでくれ」


総司「つまらないな…
　(土方さんの部屋でも荒らしに行こっと)」


二人はケンカの苛立ちで総司に当たり、
総司の苛立ちは土方へと還元される。

まさに世の理不尽だ。


A「こうしていても埒が明かぬ！
　この論議に時間を費やすのならば
　稽古に精を出したいものだ」


一「そこは同意する。続きは道場でしよう」


A「ああ、望むところだ！」


左之助「おいおい……そのまま
　斬り合うつもりじゃねーよな…？」


Aも一も基本的には
理知的な人柄だと思うが今は危うい。

そこへ、


「あの……組長…
　そろそろ巡察の時間ですが…」


左之助「もうそんな時間かよ！？
　あ〜っ…分かった！今行く！！
　(俺が戻ってくるまで何も起こんなよ…)」


やむを得ず、
遺恨を残して彼もまた屯所を後にした。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

百五十三話　仲直りは突然に…→←百五十一話　犬も食わぬ争い…

ラッキースケベ

斎藤一　風呂上がりの無防備な恰好で出くわすと説教＆襟巻でぐるぐる巻きにされる！なにゆえ？！

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